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登場!演劇部部長ジャスパー!④

「あの独創性、嫉妬しちゃうよな。ディノだっけ? そいつは勧誘してもいい?」

「やめてあげてください。ディノはたぶん、演劇とか一番苦手なタイプですから」


 ダグラスがやんわりたしなめても、ジャスパーはまだ惜しそうだった。

 見た目の奇抜さと遠慮のない言動の取っつきにくさはあるものの、飾らない魅力を持った人だとジェーンは思った。それはダグラスたちの砕けた雰囲気や、遠巻きに見ている部員たちが時々笑っている様子からも感じる。

 はじめて演劇部を訪れたが、ジェーンは整備士の事務所よりずっと居心地がいいと感じた。


「じゃあ、衣装点検だったな。舞台裏の倉庫に見て欲しいやつ出しといたが、余裕あったらひと通り確認しといてくれ」


 そう説明しながら舞台へと歩き出したジャスパーに、クリスとジェーンもつづく。と、ジェーンはふいに手を掴まれて弾かれるように振り返った。

 ロジャー王に扮したダグラスの青い目とぶつかる。


「ごめんっ。その前に俺たちのダンス、見ていかないか?」


 怪訝な顔で立ち止まったジャスパーの先回りをするように、ダグラスはつづける。


「このあと一回通しですよね、ジャスパー部長! ジェーンとクリスさんに見てもらっても構わないでしょう?」

「んあ? そりゃこっちとしては構わないけど、クリスとジェーンの都合はどうなんだ?」


 ジェーンはクリスを見た。ダグラスからの願ってもいない申し出。ジェーンとしては後先も考えず飛びつきたい。

 けれど衣装点検がどれほどかかるかわからないし、他の依頼が何件あるのかジェーンは知らない。ここは先輩クリスの判断次第だ。

 あごに手をあて考える素振りをしたクリスは、ちらとジェーンを見た。


「うちの後輩がどうしてもって顔してるので、いいですよ。見させてもらいます」


 ジェーンは期待に胸をふくらませ、ダグラスに向き直った。彼は「よかった」とやさしい笑みを湛え、その後ろでカレンとプルメリア、ルークも跳び跳ねて喜んでいる。


「とても楽しみです。ありがとうございます、ダグラス」


 笑って首を横に振り、舞台に駆けていくダグラスたちのあとからジェーンもゆっくり追いかける。彼が引き止めてくれた手首に触れると、少しだけあたたかい気がした。

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