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登場!演劇部部長ジャスパー!③

 改めてジャスパーを見るが、髪もそれ自体が発光しているかのような緑で、濃いピンクのメッシュが入っている。片側だけ刈り上げ、残った髪は長く伸ばしウェーブがかかっていた。

 サングラスと、数珠が三つ連なった大振りのイヤリングが存在感を放っている。


「いよっ、クリス。やっと演劇部ウチに入る決心がついたか?」


 演劇部部長ジャスパーはクリスに向かって気さくに手を挙げた。


「衣装点検に来ただけです。僕は見世物になるなんてまっぴらごめんですから」

「おま……もうちょっと言い方あるだろお。本当に見た目に反してかわいげのないやつだな。……ん?」


 ジェーンはジャスパーの目が自分を見て止まった、と感じた。奇抜な部長は「おいおいおい」と言いながら距離を詰めてくる。鼻がぶつかりそうな近さに、ジェーンは思わず仰け反った。


「こっちにもマブいねーちゃんがいるじゃんか。お前、歳いくつ? 歌やダンスの経験は? つか演劇に興味あり?」

「はい、ジャスパー部長。スカウトはそこまでにしてくださいねー」

「ジェーンちゃんは整備士の新人スから。演劇やらねえっスから」


 舐め回すようにジェーンを見ていたジャスパーの脇を抱えて、ダグラスとルークが回収する。


「怖かったわね」

「もうだいじょうぶだよ」


 カレンとプルメリアに肩を抱かれて、ひと息つけた。ふたりによれば、ジャスパーの勧誘はあいさつ代わりみたいなものだから、気にしなくていいらしい。


「ジェーン? ジェーンってあれか! お前らが缶詰め弁当食べるはめになった新しいルームメイトの!」


 にわかにジャスパーは得心顔で叫んだ。とたん、ダグラスとルーク、カレンとプルメリアがサッと顔を逸らす。

 ジェーンもその気持ちはわかった。弁当を作ってもらっている手前、けっしてケチはつけられない。つけられないが、あまり人前で食べられない品だったのは確かだ。


「いやあ、今年一で笑わせてもらったわあの弁当。逆にすごくね? 缶詰め丸ごと弁当に入れる発想すごくね?」


 しかしジャスパーは部下たちの様子に気づかないのかあえて無視しているのか、快調な口が止まらない。


「缶詰め弁当?」


 ひとり、例の弁当を目撃していないクリスから視線を投げかけられて、ジェーンも顔を伏した。

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