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登場!演劇部部長ジャスパー!①

 素直にうなずくと、クリスはツンときびすを返して先に行ってしまう。ジェーンは少し軽くなった足で、ひねくれている先輩のあとを追った。


「演劇部の依頼ってなにをするんですか?」


 中央食堂から北側の通路へ入っていくクリスに、ジェーンは尋ねた。こちらの区画にもトイレットペーパーの予備点検で来たことはあるが、今までじっくりと見られなかった。

 北通路の先は他と違って事務所はない。正面に両開きの大扉と個別レッスンルーム、倉庫が並んでいた。


「衣装の点検だよ。汚れとかほころびがないかチェックするんだ。そういう各部署からの依頼が毎日届くわけ。これ創ってとかあれ直してとか」


 クリスは依頼書が挟まれたバインダーを軽く掲げてみせた。


「整備部ってなんでもする部署なんですね」

「そ。なんでも屋って言われてるよ。迷惑なことにね」


 ため息混じりに言いながら、クリスは大扉の前に着くなりノックもせずに開けた。

 そこは大きな体育館のような部屋だった。正面の壁は一面鏡張りで、手前の壁には手すりがついている。そして右手奥には舞台があり、そこで華やかな衣装を身にまとった人々が踊っていた。

 白くかっちりとした衣装を着た男性たちは銃を勇ましく振り、色とりどりの花束を持った女性たちは華麗にドレスの裾を揺らす。

 そんな幻想的な人々の中から、ひとりと一匹が飛び出してきた。


「ジェーン! やっと会えたわね!」

「うれしいよお! 整備士の制服似合ってる! かわいい!」

「ぐふ……!」


 まるで花束のように着飾った緑髪の女性に抱きつかれ、桃色の毛並みに若葉のとんがり耳を持った狼の着ぐるみにもふもふ体当たりを食らい、あわやジェーンは倒れそうになった。

 なんとか足で踏ん張り、可憐な女王と狼を改めて見やる。目をぱちくりと瞬かせて数秒、ようやく思考回路が繋がった。


「あっ、カレンとプルメリアですね!」

「やだ、ジェーンってば。私たちだってわからなかったの?」

「カレンは着ぐるみだもん。でも私はそんなに変わってないのになあ」

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