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シェアハウス全会議③

 そうは言われてもジェーンは気になって、手早く洗いを済ませるとルームメイトのあとを追う。ジェーンが話し声のするキッチン・ダイニングに入った時には、帰ってきたばかりらしいディノを含めたルームメイト全員がテーブルに着席していた。

 これぞシェアハウス全会議だ。みんなで共有すべき情報、共同生活のルール考案、そして緊急性の高い問題が発生した時に、カレン議長の名の下召集される。

 これを欠席することは、体調不良などやむを得ない事情を除いて認められることはない。と、ジェーンはあとから教えてもらった。


「ちょうどいいところに来たわね、ジェーン。今私たちであなたの昼食をサポートすることが決まったわ」

「ええ!?」


 心なしかメガネを生き生きと光らせて、カレンは満足げな笑みを浮かべる。会議室さながらの空気にすらついていけないジェーンを、プルメリアはいそいそと真ん中の席へ座らせた。

 それを見計らってから、カレンは威厳のある声で切り出した。


「では次に、どのような形でサポートするかについてよ。提案のある人は?」

「あ、あの」


 流れに飲まれそうになりながら、ジェーンは思いきって口を挟む。しかしカレンからにらまれた。「発言する時は挙手だよ」とプルメリアに耳打ちされる。

 なんて本格的なのか。ここまでする必要あるのかな、と思いつつも手を挙げるとカレンはにっこり笑ってくれた。


「本当にみんなにサポートしてもらっていいんでしょうか……」

「議長」


 すかさず挙手して、発言の許可を求めたのはダグラスだった。


「致し方ない事情があるとはいえ、なにからなにまでロン園長の世話になるのは、ジェーンも気に病むでしょう。なにより俺たちもジェーンの事情を知る人間であり、同じ屋根の下で暮らす仲間です。今日の彼女の昼食に気が回らなかったことは、仲間として非常に遺憾です」


 ダグラスは苦々しい顔でテーブルを強く叩いた。まるで惜しい人を亡くしたと言わんばかりだ。

 同感です、とつづいたプルメリアも、祈るように指を絡め沈痛な面持ちをしている。メガネをかけ直したカレンは、組んだ指を口元にあて沈黙した。

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