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無愛想に隠れた優しさ②

 物置きのさらに奥深くへ踏み込んで、壁際の頂きに手を伸ばす。しかし身長が足りず、ひとつ下の段から崩しにかかった時、山が一気に倒れてきた。


「きゃ!?」


 ジェーンは目をつむり、身を強張らせることしかできない。しかし次の瞬間、体が強く引っ張られぬくもりに受けとめられた。

 ゴミ袋の落ちる音が止み、ジェーンはハッと我に返って顔を上げる。


「ディノ……!」


 気づけば抱き込まれるようにして、彼にかばわれていた。


「だいじょうぶですか! 怪我していませんか!?」


 ジェーンはディノの肩や腕に視線を走らせるが、服の上からではよくわからない。顔色をうかがうと、若葉の瞳がじっとジェーンを見つめていた。


「あんた、小さいんだな」


 ジェーンはきょとんと瞬く。確かに身長はプルメリアやカレンと比べても低かった。


「てことは、ゴミ袋上に積めなかっただろ」

「あ、はい。手前の中腹くらいに置きました」

「そうなると、あとから来たやつが奥に積んでいった可能性が高い。今落ちた分か、もしくは……」


 サアッと血の気が引いていき、ジェーンは頬を押さえて叫んだ。


「最初に私が避けといたやつですかー!?」

「まあそのあたりだな」


 ゴミの海の中でなければひざをつき、項垂れたい気分だった。頭から見当違いなところを探していたということだ。

 どうりで探しても見つかるはずがない。上二段にはないと思い込んでしまったのも、この低い身長のせいだ。

 しかし希望が見えてきた。ジェーンは足元に転がったゴミ袋を抱えて、明るい外へ持ち出す。


「ディノ、ありがとうございます! お陰で見つかりそうです」


 省いたゴミ袋は固まって置いてある。手前から順に置いていったので、最後に置いたものから当たれば早い。

 さっそくしゃがみ込み、ゴミ袋を広げはじめたジェーンの目の前に軍手が差し出された。


「今さらだろうが、つけとけ」


 受け取るのを待たず、ディノはさっさと軍手を置いていく。しかしリヤカーに戻るのかと思えば、黒のブーツの足先はジェーンの周りにあるゴミ袋のひとつへと向かった。

 軍手をしているとはいえ、ディノはためらうことなくゴミに手を突っ込む。

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