表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/365

新人の仕事?③

 整備士にも書類仕事があるのかな?

 気になって中堅先輩の様子をうかがう。


「あれ。もしかして寝てる……?」


 ショートローブのフードで顔は見えないが、レイジは机に突っ伏して微動だにしていなかった。するとますます興味をそそられて、ジェーンはこっそり忍び寄る。

 首を伸ばし、手元を覗き込もうとした時、銀髪の間からこちらを射抜く空色の瞳とぶつかった。


「なんだよ」


 かすれた声で気怠げに問いながら、レイジは広げていた書類をひっくり返した。


「いえあのっ。あ、まとめたゴミはどこに持っていけばいいでしょうか」


 ジェーンはとっさに隅に置いたゴミ袋を指して誤魔化した。


「清掃部の横にあるエレベーターから上がれば物置きがある。そこに放り込んでおけ」


 米神を掻きながらレイジはつづけた。


「俺は今忙しいんだ。質問は他のやつにしろ」


 机に突っ伏してましたよね? とは、ジェーンは賢明にも口にしなかった。素直に返事して、ゴミ袋を両手に事務所を出る。

 廊下に誰もいないとわかると、つい愚痴が込み上げてきた。


「他のやつって、誰もいないじゃん」


 清掃部の事務所横に見つけた大きなエレベーターに乗り込む。閉じていく扉を見つめてこぼれたため息は、ジェーンさえ気づかなかった。


「ジェエエエンッ! どこ行ったんだあの小娘!」


 ゴミを捨てにほんの五分ほど離れていた間に、ジェーンを呼びつけるアナベラの怒声が廊下まで充満していた。

 慌てて戻ると、上司は目をつり上げてジェーンをにらみ、無言でトイレまで引っ張っていく。個室トイレの棚に指を突きつけまくし立てた。


「予備のトイレットペーパーがないじゃないか! きちんと二個そろってるのは三ヶ所しかなかったよ! 用を足すのに紙を使うことも忘れたのか!?」

「あの、予備がどこにあるのかわからなくて……」


 おそるおそる答えたとたん、アナベラはこぼれんばかりに目を見開いた。天井を仰ぎながら吐き出されたため息が壁に反響する。


「これだから嫌だったんだよ。お前はここに掃除婦として雇われたのか? え? なければ創ればいいだろ! 創造魔法士なんだから!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ