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ジェーンの秘策③

「構わないよ。今戻っても仕事に手がつかないからね」


 わかりました、とうなずいてジャスパーはダグラスたちを手招く。


「よし、はじめるぞ。気合いを入れ直せ。集中不足は怪我のもとだからな。ジェーンはサプライズ演出の確認だ。そこでちょっと待ってろ」


 こうなればジェーンは動けない。ジャスパーの隙をついたとしても、ロンが必ず阻んでくる。ディノを捜し出すことは不可能だ。


「パーティーが終わるまで待たないとダメか」

「だいじょうぶかな……」

「正直なんとも言えないわね」


 しぶしぶと歩き出しながら、ダグラスとプルメリア、カレンは不安げな互いの顔を見合う。

 ジェーンは甘く見ていた自分を罵った。ロンは思っていたより狡猾こうかつだ。口約束だけでは足りず、自ら監視に出てくるとは、よほど勝手な動きはされたくないらしい。

 ロンが相手では圧倒的に分が悪い。下手をすれば、最高責任者の権力を行使されどんどん追い込まれる。最悪はルームメイト全員解雇だ。

 けれどジェーンはチャンスだとも思った。ロンは今、こちらに釘づけだ。その監視さえ掻い潜ってしまえば、気づかれずにディノを助け出せる。

 ディノの居場所がわかっている今のうちに行動しないと!


「まあ、焦らず機会を狙って――」

「ルーク!」

「はいいい!?」


 ルームメイトたちを元気づけるルークを見て、ジェーンはひらめいた。思わず叫んで彼の肩をがっちり掴む。

 しかし我に返ると、全員がジェーンに注目していた。ロンの目は明らかに怪しんでいる。


「ええっと、ジャスパー部長! サプライズ演出についてメインキャラクターの方々に二、三点注意事項があるので、五分だけ時間もらっていいですか!?」


 とっさに思いついた言い訳を口走りながら、ジェーンは後ろ手に魔法を発動させて紙を創る。


「却下だ。あとにしろ。今いい感じにまとまりつつある流れを止めたくない」

「ですよねー。すみませんでした。どうぞダンス練習に入ってください」


 謝罪は口から出るに任せ、ジェーンは創造した紙に文字の加工を施す。気にかけながらも再び歩き出したルークの手に、そのメモを握らせた。


「みんなで回し読みしてください」

「……了解っス」


 すぐに離れようとすると「ジェーンちゃん」とルークがささやく。

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