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消えたルームメイト⑤

 しかしカレンのその言葉でジェーンは気づいてしまった。ロンが欲しがっているのはディノだけではない。ジェーンもだ。なにか目的のために利用したがっている。

 ジェーンさえ決意すれば十分、交渉材料になる。


「ジェーンちゃん、俺もおすすめしないっスよ。はっきり言って今のあの人は、なにをするかわからないっス」

「いいえ。彼が用があるのは私です。だから養子の話を持ち出したり、昼食の席を設けたりしているんです。私が出向けば、ディノを解放してくれるかもしれません」


 ルークの忠告に答えながら、ジェーンは園長室のある方角を見やる。

 企みは全部、最初からだったのだろうか。記憶を失ったジェーンを保護したのも、シェアハウスに連れていってくれたことも、クリエイション・マジック・ガーデンに就職させてくれたことも。親切はすべて厚意ではなく計算だった?

 そう考えるほうが、腑に落ちる自分がいる。


「ジェーン!」


 突然、肩を掴まれてジェーンはビクリと向き直った。目の前に迫ったダグラスはしかし、自分でも驚いたような顔をしている。ジェーンと目が合ってすぐにダグラスは手を引いた。


「えっと、俺もいっしょに行くよ。ひとりは危ない」

「ありがとうございます、ダグ。でもロン園長はたぶん、ふたりきりじゃないとなにも話してくれないと思います。いざとなれば魔法で逃げますから、ここは私に任せてくれませんか」


 そう言いながらジェーンはルームメイトたちの顔を見回した。みんな不安そうだ。だけどすぐにでも止めないのは、ジェーンと魔法の腕を信頼してくれているのかもしれない。そう思うと勇気が湧いてくる。


「私、シェアハウスで暮らせて、みんなといっしょに仕事ができてうれしいです。みんなを……家族のように思っています。だから私にできることは、なんでもしたいんです!」


 思惑に巻き込まれた出会いだったとしても、シェアハウスでの日々は色()せることはない。ここには確かなぬくもりがある。

 “ジェーン”が結んだ新しい絆を抱き締めても、“私”は寂しがったりしませんか?


「私だって家族だと思ってるし、親友だからね!」

「私にとっては恩人でもあるわ! ディノももちろん欠けたら困るのよ!」

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