表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
303/365

家族になろうよ②

 さあどうかな、と口ずさむように言ってロンは振り返る。まだ執務机に片手をついているディノを見て、ひょいと眉を上げた。


「辛そうだね。久方の発作だから無理もないかな。そうだ、ハーブティーを淹れてあげようか。リラックスできるよ」


 そう言ってロンは簡易キッチンへと向かう。ロンが背中を見せている間に、ディノは執務机を漁った。

 養子縁組はどう考えてもロンの目的に沿わない。彼の口振りからして、ジェーンを諦めたということはまずないだろう。絶対に裏があるはずだ。

 天板下の引き出しを調べたディノは、横の三段引き出しに手をかけた。


「ディノくん、ハーブの種類はなにがいい?」


 そこへふいに声をかけられ、ディノは肩が跳ねた。顔だけ覗かせてみると、ロンはまだキッチンに向かっている。


「なにがあるんだ?」


 なるべくそちらに注意を引かせようと、会話を延ばした。その間にも引き出しを下から開けていく。


「んー。カモミールとローズヒップと、シナモンアップルだね」

「……妙に女子力高いな」

「ん? どれだって?」


 あー、と悩むふりをしつつ一番上段の引き出しを開けた時、黒い革製の手帳が現れた。


「シナモンアップル!」

「ははは。やっぱりね。ディノくんは案外、女の子っぽいもの好きだよねえ」


 手帳を掴み、サッと床に広げる。十月の予定欄に目を走らせるが、それらしい記述はない。焦る気持ちを抑えながら、ディノはメモ欄まで手早くページをめくった。その途中に、折りたたまれた紙が挟まっている。


「これは……」

「ディノくん? なにしてるんだい」


 その時、ロンの声が近くから聞こえた。


「そんなところでうずくまって。体調が悪化したのかい? それとも……」


 ハーブティーの湯気越しにロンがぬっと執務机を覗き込む。


「いや。靴ひもを結んでいただけだ」


 ディノはスニーカーのひもをぎゅっと縛り、なに食わぬ顔で立ち上がる。ロンが目ですばやく確認した引き出しは元通りだ。もちろん手帳も中に収まっている。


「いい香りだな。もらっておく」


 ディノはロンが手にしたトレイからティーカップを受け取り、ソファセットのほうへ歩いていった。クリエイション・マジック・ガーデンを描いた絵に目をやりながら、脳裏には先ほど見つけた書類を思い浮かべる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ