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ロンの提案④

 ロンは痛みを堪えるような表情に薄く笑みを乗せた。


「僕たちと、家族にならないかい」

「えっ」

「僕ときみと、ディノくんで家族になるというのはどうかな。僕たちは前に話した通り本当の親子ではないけれど。でもだからこそ、ジェーンくんの寂しさを分かち合えると思うんだ」


 ディノくんもきっと喜んでくれる、とロンはにっこり微笑む。しかしジェーンは「家族」という言葉を噛み砕くことに頭がいっぱいだった。


「あの、それはつまり、私が養子に入るということですか……?」

「……ダメかな?」


 ようやくロンの言葉を理解して、ジェーンは息を呑む。ここから駆け出して喚きたいような衝動が体を巡った。うれしいのか嫌なのか、自分でもわからない。

 じっと見つめるロンの眼差しに居た堪れなくなり、心臓は緊張の早鐘を打つ。


「ジェーンくん。寂しいことを言ってしまうけれど、ルームシェア生活はずっとはつづけられないよ。ダグラスくんたちはいつか、結婚や仕事の都合であの家を出ていくんだ。遅かれ早かれ必ず、ね」


 ハッと目を見開く。周囲の喧騒も景色も遠のいて、ただロンを凝視することしかできなかった。


「もしその時が思っていたより早く来てしまった時、ジェーンくんはどうするのかと考えると心配なんだ。もちろんすぐに返事をくれとは言わないよ。とりあえず、お互いをもっとよく知ったほうがいいと思うんだ。そのために、これからは毎日昼食をいっしょに食べないかい? 僕の部屋でゆっくりと」


 次第にロンの声もぼやけて、姿形もぐにゃりと歪みはっきりとしなくなった。自分がなんと答えたかもあいまいだ。昼食の件にはうなずいたが、養子の話にはなにも言えなかった気がする。

 午後の仕事は手につかなくて、気がつけばシェアハウスに帰ってきていた。

 ダグラスとルーク、カレン、プルメリアが変わらない笑顔で「おかえり」と言ってくれる。彼らが夕飯を作ってくれている間に、ジェーンは浴室を洗う。そうしている間にディノも帰ってきて、六人で食卓を囲む。

 出会ってから幾度となく、くり返してきた日常だ。


「あ。ダグ、ソースついてるよ」

「え、ほんと?」

「ふふっ。そっちじゃないよ。待って、取ってあげる」

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