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ロンとランチ①

「プルメリア……ありがとうございます。私、とりあえずロン園長になにかわかったことがないか聞いてみます」


 安堵したかのように笑った友の手を、プルメリアはしかと握り締めた。




 * * *



 翌日。ジェーンは昼休みに入ると急いで中央食堂へ向かった。前にルークから、ロンは社員と交流するために昼食は毎日ここで食べていると聞いたからだ。

 園長室がある源樹イヴ方面からやって来る人波に目を凝らしていると、目当てのロマンスグレーの髪が見えた。


「ロン園長!」

「やあ、ジェーンくん。お疲れ様。ジャスパー部長から活躍は聞いてるよ。よくがんばってくれてるね」


 ロンは今日もやわらかな笑みを絶やさず、深みのある声で労ってくれる。その短い間にも、ロンに気づいた従業員たちが次々と彼にあいさつしていった。

 従業員たちの笑顔を見ていると、ロンがみんなから慕われていることがよくわかる。それを実感する度に、なんだかジェーンまでうれしく誇らしくなって、胸がむずむずとうずいた。


「園長、今日は昼食をごいっしょしたいのですけど、構いませんか?」

「ジェーンくんとは出勤二日目以来かな。もちろんだよ。誘ってもらえてうれしいよ」


 快諾を得て舞い上がったジェーンは、ついつい腕を引っ張って列までロンを急かした。


「そうか。調査の話を聞きたかったんだね」


 食事が半ばまで進んだ頃合いを見計らって、ジェーンは本題を切り出した。

 ロンはナイフとフォークを置いて、紙ナプキンで口元をていねいに拭く。そうして口にした返事は色よいものではなかった。


「残念だけど進展はないんだ。力になれず、ごめんね……」

「そうですか……」


 期待していた分、落胆が隠せなかった。考えてみればやさしいロンのことだから、なにかわかればジェーンが聞くまでもなく伝えてくれていただろう。

 そんな考えも回らないほど焦り、不安になっているのかと自覚して、ますます顔がうつむく。


「あっ。それでシェアハウスはどうかな? ルームメイトたちと仲よくやれてるかい?」


 落ち込むジェーンを見かねたのか、ロンは明るく話題を切り換えた。ジェーンもハッと我に返り、慌てて笑みを取り繕う。

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