表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/365

衣装創り②

 丸い宝石、いやアメ玉だったものがクリスの指に操られ、枝分かれしていく。


「どう? クラゲ海賊とキャンディのモチーフだよ」


 財宝を求める海賊と、宝石のようにキラキラしたアメの組み合わせは文句なしだった。加えてクラゲの触手を再現した衣装は、ハロウィンらしいおどろおどろしさも出ている。


「いいですね! でもキャンディの宝石はもう少しくすんでいるとそれっぽいかと思います」


 言いながらジェーンは帽子に向かって指を振る。つぼみ型のキャンディは濁った青をまとった。ついでに頭頂部に少し白を加える。

 華やかさは減ったが、ソーダ味のおいしそうな帽子になった。


「なるほどね。それじゃあ肩のところにラメを入れて見映えをよくしようかな」


 クリスがパチンッと指を鳴らすと、砂糖のような銀粉が降りかけられた。

 ジェーンはクリスといっしょにマネキンの周りを回って、細かな装飾やキャンディの宝石を足したり消したりした。


「次は私が創ってもいいですか?」


 残りのデザイン案を手にジェーンは尋ねる。

 ちょっとだけじれったくなっていた。クリスはひとつの宝飾に色や角度などいつまでもこだわっている。これでは時間がいくらあっても足りない。


「あ、お願いしていい? 僕があとで仕上げるから」


 クラゲ海賊に目が釘づけのまま、返事が寄越される。その顔は真剣ながら、青い目は子どものように輝いていた。衣装創造にかけるクリスの情熱を感じる。

 だからこそ遅れて慌ただしくなる事態は避けてあげたい。


「えっと、次はコウモリのドラキュラとチョコレートね」


 デザイン案に目を落としつつ、マネキンに向かって魔力をほとばしらせる。きらりと輝く糸が首元を舞い踊り、みるみるとドレスブラウスを描いていく。

 それと同時にジェーンは香り高いカカオを想像しながら、ダークブラウンのパンツを縫い上げた。

 そしてマネキンの上でチョコをテンパリングするようにマントを広げ、ふわりとかける。コウモリの羽をまねていくつかアーチを描き、チョコが垂れるように先端に丸みを持たせる。

 胸元にはホワイトチョコのスパイラル細工と、ルビーチョコの花を添えた。

 仕上げに真っ赤なリボンタイを巻けば完成だ。


「うーん。少し物足りないような……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ