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変化する夢②

 つい目を閉じた時、今度は額に熱を感じた。まぶた、鼻先、目元と降りて、彼の唇は耳に辿り着く。


「ねえ聞いて」


 吹き込まれた言葉は、湿っぽい吐息とともに鼓膜をくすぐった。


「たとえきみを忘れても、必ず見つけにいくよ。だからきみも怖がらないで。一歩を踏み出して」

「それは現実……いえ、夢の中でということですか?」

「どっちも現実だよ」

「どういう……?」


 聞き返そうとした言葉を思わず飲み込む。静かに笑みを湛え、まっすぐ見つめてくる彼は声を発するなど野暮だと思わされるほど美しかった。

 そんな彼を見ていると、胸が痛むほどの切なさに息を奪われる。

 ダグはふいに、にかっと笑った。


「俺のことも見つけて。きみならできる。だって俺の女王様だからな!」

「待って!」


 気づけばそう叫んでいた。しかし、伸ばした手は虚空に取り残され、あたりは誰かが電気を落としたように暗い。

 呆然と宙を見つめながら、“ジェーン”の意識が覚醒しようとしていることを感じた。ふと思う。

 夢の中の“私”は誰なんだろう?

 指先がなにかに引っかかる感覚がした。けれどそれは目覚めると同時に、指の間をすり抜けていってしまう。


「……もう少し夢を追いかければ、私たちになにがあったのかわかるの?」


 もう見慣れた自室の天井にぽつりとつぶやく。横を向けば吹き抜けを通ってよく響く、ルームメイトたちの声が聞こえた。


「おはよう、もうひとつの世界。もうひとりの、わたし……」




「ハロウィンイベント? それはどういうものですか」


 部長席の新しい主ニコライに呼ばれたジェーンは、はじめて耳にする言葉に首をひねった。


「元々は秋の収穫を祝ったり、先祖の霊を迎えるとともに悪霊を追い払ったりする行事だ。この悪霊を追い払う方法が、菓子や怪物に扮して怖がらせるってものだったんだが、近年はもっぱら仮装パーティーになってる。ガーデンでは毎年、ハロウィン期間は客の仮装が許されてるんだ」

「秋の収穫? 今七月ですが……」


 ジェーンは制服の詰襟が少しはゆるまないかと引っ張りながら、顔をしかめた。

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