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ケーキと恋ばな③

「ごめんごめん。だって見ればわかるもん、ジェーンのダグを見る目」

「目、ですか?」

「うん。恋してる女の子の目だよ。ハートが浮かんでるの」


 ここ、と言ってプルメリアはジェーンの目元をちょんとつつく。とたん、またしても熱が上がった頬を押さえてジェーンはうつむいた。

 そんなにわかりやすい顔してたのかな。カレンもルークも、ディノにも呆れられていただろうか。もしダグにまで気づかれていたら、もう合わせる顔がない。


「ねえ。ジェーンはダグのどこが好きなの?」


 プルメリアはまるでお茶請けのように疑問を口にする。気まずい空気になるかと思っていたジェーンは拍子抜けした。

 でも彼女の気持ちがわかる気がする。支えが取れたジェーンと同じ、プルメリアもきっとあれこれ想像して悶々とするより、ひとつの事実に絞れた安堵を感じているんじゃないだろうか。

 そんな彼女の前だからこそ、ジェーンも安心してケーキを食べられる。


「たくさんあります。気さくで明るいところとか、仲間思いなところ。それにルークと子どものようにはしゃいでいる姿も好きです」

「わかる! ダグってああ見えてルークくんのことライバル視してるよね。ゲームとかで負けると、本気で悔しがってるところがかわいいの」

「お弁当でも悔しがってましたよ!」

「そうなのー!? もう、先輩なのに大人げないよね」


 そう言いつつ、くしゅりとほころんだプルメリアの笑顔は、ダグラスへのあたたかい思いに満ちていた。愛しい人を思い浮かべた時、無性に走り出したくなるようなくすぐったさがジェーンにもわかる。

 プルメリアも私と同じなんだ。

 そう思ったらやたらうれしくなって、ジェーンもいっしょにくすくすと笑った。


「私もね、ダグのやさしいところが好きなんだ。なんだろう、私のことちゃんと見てくれている気がするの」


 上辺だけの言葉や定型文の励ましは、誰にだって言うことができる。でもダグラスはその時、その相手に合った言葉を、考えてくれている。プルメリアの言う通り、彼はきっと人のことをよく見ているのだろう。

 ダグラスのパートナー役として、近くで見てきたプルメリアが惹かれるのもわかる。ジェーンは素直に思った。するとひとつの疑問が湧く。

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