表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/365

反旗をひるがえす革命者たち③

「それはおかしいな。俺が教えたことはすぐに覚えたぜ、ジェーンは」


 ラルフが矛盾を指摘する。するとアナベラは「ふん」と鼻を鳴らした。


「ということは、そいつは人を選ぶ性悪女か、男にびを売る女狐ってことだ。お前たちも騙されてるんだよ」

「違う! ジェーンは思い出させてくれたんだ。創造する楽しさ、想像する自由を。今までの僕はただ流されてきたんだって気づかせてくれた!」

「クリス……」

「それのなにが不満なんだ。波風を立てず、穏便にやり過ごすことを望んだのはお前だろ、クリス。あの秘密をバラされてもいいのか」


 えっ、とジェーンは目を見張る。その間もアナベラの威圧は留まることを知らず、今度はラルフへ牙を剥く。


「お前は彼女と結婚したいんだろ。その恥ずかしい体型に加えて無職の男なんて、彼女は受け入れてくれるのかねえ」


 ラルフは眉根を寄せて鼻をすすった。言い返せない彼をせせら笑って、アナベラの目はぎょろりとレイジを捉える。


「レイジ、お前はなにもなかったね。守るものも目標も、志も。そうさ、お前はからっぽだ。いつ辞めたって構わないよ。お前程度の代わりはいくらでもいる」

「んだと……! だったら辞めてやるよ! お前みたいなクソババアの下で働きつづけるくらいなら、野垂れ死んだほうがマシだ!」

「レイジさん!? 落ち着いてください! 挑発に乗っちゃダメです……!」


 近くのイスを蹴りつけ、制服の上着を脱ごうとするレイジをジェーンは慌てて止める。ラルフもクリスも、迷いと悔しさを湛えた面持ちでうつむいていた。

 先輩たちが今までどれだけ守りたいもの、叶えたい夢のために、苦汁を飲んできたか思い知り、ジェーンは唇を噛む。

 同時に、許せないと思った。みんなの大事なものを盾に、親の牙を振り回し平気で踏みにじる女帝に怒りが湧く。

 その時、すさまじい轟音ごうおんが事務所をつんざいた。目を剥いて振り返ると、ニコライが机に拳を突き立てている。


「もういい。てめえの顔色をうかがうのも飽きた」

「おやおや、ニコライ。四人の子どもを抱えた若い奥さんに苦労をかけたいのか」

「うちのはここで体を張らなきゃ離婚するって言い出すような女だ。てめえといっしょにすんなよクソアマ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ