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解雇通達①

 二日間の休日が終わっても、ジェーンの生理痛は治まらなかった。それどころか頭痛に加えて、咳、のどの痛みが増えて体調は悪化の一途を辿っている。

 けれども身近な女性――カレンやプルメリア、アナベラが生理痛で仕事を休んでいるところなんて見たことがない。ロンのやさしい言葉に甘えそうになる足を運んで、ジェーンは今日も出勤した。


「ジェエエエン。お前は本日づけで解雇だ」

「はい?」


 出勤早々、アナベラに呼びつけられてそう言われた時も、ジェーンは頭痛のせいで聞き間違えたと思った。


「聞こえなかったのか。解雇だよ、カイコ! クビだ。お前はもう来なくていい。ロッカーの荷物まとめて出ていきな」

「お、仰る意味がよくわかりません……」

「ふふふっ。そおかい。それじゃあ、園長に提出したお前の解雇申請書を読んでやるよ」


 そう言ってアナベラはもったいつけるように一枚の書類を取り出した。澄ました咳払いをひとつこぼして、アナベラは楽しそうに口ずさむ。


「クリエイション・マジック・ガーデン、整備部ジェーン。上記の者を以下の理由により解雇の申請をいたします。一、遅刻。連絡事項の確認粗略(そりゃく)など、職務怠慢が著しくみられる。二、客と長時間必要以上の会話をし、職務に支障をきたしている。三、経費の不正請求及び、領収書偽造の疑いあり。以上。特に三の理由は到底看過(かんか)することのできない重大問題です。どうか公平で厳粛なご判断を下さいますように」


 勝ち誇った笑みを添えて、アナベラは書類から目を起こす。突然、床板に柔軟加工が施されたかのようにジェーンは足元が覚束なくなった。

 遅刻、客との会話。身に覚えはあれど、どれも解雇通達されるほど逸脱した自覚はない。

 それに三番目の理由だ。経費の不正請求? そんなこと考えたこともなければ、やり方さえ知らない。


「デタラメだ! ジェーンがそんなことするか!」


 レイジが部長の机を叩きつけ、身を乗り出す。その横からクリスも食ってかかった。


「撤回してください! 遅刻も会話も問題視されるほどのこととは思えません!」

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