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ロンの真心③

 そう言ってロンは生理用ナプキンを持たせてくれる。綿のように軽くふわふわしていた。パッケージを見てみると、吸水性のいいパットで経血をもれなく吸い取る、と書いてあった。

 ジェーンは足から力を抜き、ゆっくり上体を起こした。やっぱり嫌なものが股を伝う。おそるおそるシーツに手を滑らせてみるが、濡れた感触はない。ようやく息をつくことができた。


「ナプキンを何種類かと、生理用ショーツも用意したからね。あと、汚れたナプキンはこの中の見えないゴミ袋に入れてね。それとお風呂はしばらくシャワーにして、最後に入るといいよ」

「なにからなにまで、ありがとうございますロン園長。またお世話になってしまって……。あっ、代金は……?」


 そろりとうかがうと、ロンは目尻をやわらかく細めた。やさしく、あたたかい手がぽんっとジェーンの頭に触れる。


「お金の心配はしないでくれるかい。僕はきみに、両親が見つかるまでの親代わりだと思って欲しいんだ。きみがガーデンで見つかったのも、きっとなにかの縁だろうからね」


 そこまで甘えてしまっていいのか。ジェーンの迷いを払うように、ロンは「大事なことを言い忘れていたよ」と言葉をつづける。


「生理には生理痛が伴うものなんだ。その症状や重さは人それぞれだけど、頭やお腹が痛くなったり体が怠くなったりするらしい。それに心も落ち込んだりイライラしたり、不調になるんだ」


 ハタとジェーンは思い当たる。ここのところアナベラの嫌がらせを受け流せなかったり、園芸部を羨ましがって涙が出てきたりと、いつになく感情の起伏が激しかった。それも生理の前兆だったのか。

 自分らしくないと思いながらも、感情の制御ができなかった。血が流れるだけでどうしてそうなってしまうのか、ジェーンにはわからないがなんだか怖く感じる。

 無意識に上かけを掴んでいた手が、握り締められた。見るとロンが慈しみ深い眼差しでジェーンを見つめている。


「ジェーンくんはちょうど明日と明後日が休みだね。でももし辛かったら無理なく休んでいいんだよ。僕に直接電話してくれたら、アナベラくんには僕から伝えておくよ」

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