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16話 シェアハウスの5人④

 桃髪の男性は、下半分だけ刈り上げた後頭部をなでながらそう言う。感心した面持ちを笑みに変えて、つづけた。


「俺はルークっス。演劇部のアダム――神鳥アダムをマスコットキャラ化した鳥っスね。それの着ぐるみ担当。歳は二十五。ダグ先輩とカレン先輩の後輩っスよ。あとなんだっけ? 好きな食べ物? は、生ハムとかスモークサーモンっスかねえ」


 ルークの自己紹介が終わるタイミングを見計らい、メガネをかけた女性が私に微笑みかけた。灰色がかった癖のない髪が、部屋の照明を受けて深い緑色に艶めいている。あめ色の目はスッと長く、涼しげだ。


「私はカレンよ。演劇部のイヴ役。源樹イヴが狼に身をやつして現れるっていう話から生まれた狼のキャラね。歳は二十六。ダグとタメよ。好きな食べ物って言う流れ? これ。そうね……グレープフルーツかしら」


 カレンが耳に髪をかけた時、私は彼女の目元にホクロがあると気づいた。


「それにしても本当にびっくりしたわ。私とルークは着ぐるみを着てたのに。どこでわかったの?」

「えー。カレンとルークくんって普段からイヴとアダムみたいなやり取りしてるよ」


 不思議がるカレンにジュリー女王がくすりと笑って答える。ルークはカレンと顔を見合わせて苦い笑みを広げた。

 そんなつもりないんスけど、と無自覚なふたりにダグラスが笑い声を立てる。


「じゃあ次は私だね」


 ルームメイトたちから私へと視線を移し、ジュリー女王は軽く居住まいを正した。

 船で見かけた時とは違い、髪は濃い栗色に染まっている。長さはあご下ほどに短くそろえられ、毛先はふわりと内側に巻かれていた。彼女本来の目は水色で、好奇心の光を湛えている。


「私の名前はプルメリア。演劇部のジュリー女王役です。歳は二十五歳。好きな食べ物は、えっと、いっぱいあるけど……オムライスとパスタが特に好きだよ! よろしくね――」


 そう言って微笑んだプルメリアの頬がせつな固まって見えたのは、私の名前を呼ぼうとしたからだとわかった。


「みなさん、よろしくお願いします」

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