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練習!練習!練習!③

 ダグラスはどこかぼんやりとジェーンを見つめていた。首をかしげると、あいまいな笑みで繕って視線を下げる。ひざに置いた手が、しきりに指をいじっていた。


「なんだか楽しそうで安心した。でも無理はしないで。仕事も大事だけど、ジェーンの体が一番大事だよ。ちゃんと休めてるかってみんな心配してる。特にルークが」

「ちょお! 言い出したのはダグ先輩っスよね!?」


 にやりと笑ったダグラスの言葉を合図に、ルークはリビングの扉を押しのけて騒がしく入ってきた。ここぞとばかりにプルメリアとカレンも駆け寄ってきて、最後にディノがゆっくりとつづく。


「ジェーン、なにかあったら私たちに相談してね」

「そうよ。部署が違うからって遠慮しないで」

「俺たちはジェーンちゃんの味方っスよ」


 心配顔のプルメリアにジェーンは笑みを向け、そっと肩に触れたカレンの手を握り、ルークには力強くうなずき返す。


「だいじょうぶだ。園芸部も清掃部も客も、ジェーンを認めてる。うまくやってるよ」


 と、ルームメイトたちの後ろからゆったりと腕を組んでディノがそう言った。みんな一斉に振り返り、しばし固まる。

 変なこと言ったか、とディノが首をかしげた時、ルークの鋭いツッコミが静寂を割った。


「いや何目線だよ!? 後方彼氏面っスか!? つかあんたは事情知ってたんだから話せ! ゲリライベントに出たらジェーンちゃんがナチュラルにつなぎ着て、剪定せんてい作業してるから俺らビビったんスよ!?」

「話す必要があったのか?」

「ホウレンソウ! 俺ら友だちっスよね!? 同じ釜の飯食う仲間っスよね!?」


 いつものディノペースにルークのほうが呑まれ気味だ。そんなふたりをダグラスとプルメリアは苦笑で見守り、カレンは呆れたため息をつく。

 だけど、しばらくの間だけでも出張のことは秘密にしてくれたディノに、ジェーンは救われた。アナベラに整備部から遠ざけられた直後の心では、ルームメイトたちのやさしさも痛いと感じたに違いない。

 このぬくもりを心地いいと受け取れるのは、傷が乾くまで触れずにそっとしておいてくれたディノのお陰だ。

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