未来を担うは④
「え……」
「革命者はガーデンの外面だけを言ってるんじゃない。むしろ内面だ」
ジャスパーはジェーンのあごに手をかけ、上向かせる。サングラス越しに透ける目が、心の奥底を覗くように近づいた。
「お前は気づいてない。お前がこいつらのくすぶっていた心に火をつけたんだ」
レイジとクリスを視線で示し、ジャスパーはつづける。
「整備部の連中は、アナベラに飼い殺されてる。俺は〈ウォーターレイ〉を見て確信したぜ。お前らすげえもん持ってんじゃん。なんで俺といっしょに舞台を創ってくれねえの」
ジャスパーの拳がジェーンの心臓上をトンッと叩いた。
「ぶっ壊せよ。古い権力者の停滞政治なんてクソくらえだ。そんでまた創り直せ」
ジャスパーはジェーンもクリスもレイジもまとめて、三人の背中を押す。突き出された先にはルームメイトたちと、演劇部員たちがいた。
食堂のコックが作ってくれたのか、軽食を乗せた皿を片手にみんな、おいでおいでと手を振る。
「お前らは創造魔法士だろ」
ハッと振り返った先で、ジャスパーはサングラスをずらし紫の目を細めて笑っていた。
「ジェーン!」
友の声がして向き直る。プルメリアが早くと手を振っている。皿を用意してくれているカレンの横で、ルークが「これうまいっスよ!」とプリンのカップを見せている。ディノもおだやかな顔でグラスを傾けていた。
そんな仲間の輪からダグラスはジェーンを迎えに来てくれた。
「ジェーン、行こう?」
「……はい!」
差し伸べられたダグラスの手を取り、ジェーンはクリスとレイジも誘いかけ、ルームメイトたちの元へと駆け寄った。
「許さないよ、ジェエエエンッ」
その姿をアナベラは通路の角からにらみつけていた。




