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エピローグ

見上げると空は抜けるような青さに澄み切っていた。そしてうっすらと青い月が浮かんでいた。

 周りを見渡すと太陽から降りそそぐ透きとおるような白い光が純白の砂浜に降りそそぎ、砂の粒がキラキラと音楽を奏でるように反射していた。

 そのむこうにはエメラルドグリーンの海の表面がゆったりとした波のリズムに合わせてガラスの粉を撒き散らしたように煌めき、浜辺に打ちよせる優しい波の音は耳に心地よかった。

 車いすから立ち上がるとおそるおそる砂浜に素足をおいてみた。そのさくさくする感触が体を駆け抜けた。

「母さん、もう体は完全に治ったんだから昔のように歩いたり走ったりできるよ」

 健治はわたしの顔を覗き込むようにして優しく声を掛けてくれた。

「そうよね。全身サイボーグにしてくれたんだから。あとはわたしの気持ちしだいよね」

「俺も全身サイボーグにしてから疲れ知らずの病気知らずで健康そのものなんだ。母さんも同じなんだよ。さぁ。勇気をもって少しずつ歩いてみてよ」

「わかったわ」

 そう言ってはみたものの立っているだけでも恐怖に足がすくみそうだった。

「お義母さん、わたしも応援していますよ。頑張ってください」

 ふと見ると健治の横には尚美さんが立っていた。笑顔がゆったりと優しいその表情を見ていると勇気がわいてきた。そして後ろの方からは孫の優美と捷人が子供らしい甲高い笑い声とともに近づいてきた。

「わぁ! おばあちゃんが立ってる! すごーい!」

「ほんとだ! さすがはサイボーグだ! サイボーグおばあちゃんだよ! やっほー!」

 優美と捷人は口々にはやし立てながら健治と尚美さんのほうへ駆けよるとみんなで手をつないでわたしのほうを眺めていた。

 そこにはわたしの家族がいた。

 かけがえのない家族。

 わたしは湧き上がる夢と希望で胸をいっぱいに膨らませながら歩き始めた。

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