コンテンツ89―エピローグ、回想2
2人のメカニックの会話……回想。
「マット。君はAnn2体のカスタマイズについてはどう思っている?自分で出来ると感じるか?」
「はい、今までのロワートさんの設計の手順から、依頼に合わせた設計図を起こして組み立てまで、出来ると思います。ですが宇宙船は、ロワートさんにまだ一部分しか教わっていません。それも俺が作業を見ていただけです。なかなかこれでは宇宙船まで作業なんて出来ません。」
「マット。私はそのルイスさんとやらの依頼、受けたらどうかと思うがね。なぁに、手は貸してやる。良い機会じゃないか。独立する為の自信に繋がる。……すまんがマット。コーヒーをお代わりもらえるかな。」
グロビア氏の承諾……回想。
「ようこそお嬢さん達。私はこの工房のロワート=グロビア。さぁ、奥のテーブルに掛けて。」
2人は勧められたシートに腰掛ける前に、グロビア氏に初日の勝手な駐機を詫び、手土産を手渡した。
「2人共、まぁ掛けてから話そう。マット、2人にお茶を。」
しばらくするとマットは彼女達のお茶と、グロビア氏のコーヒーをそれぞれ勧めた。マット自身はコーヒーである。
不躾な行動を詫び、手土産を持参して会いに来た2人を快く感じたグロビア氏。マットが話す前に話し始めた。
「お二人の事はマットから聞きました。Ann2体と宇宙船の製作依頼と……。」
「ええ、ただ無理にとは言いません。今の事情を知ってしまったので、私達は逆に協力するので依頼を受けて頂きたい気持ちです。」
「まぁまぁ。そこまで考えてもらっていたなら、Ann2体の依頼はマットに任せているので、今日話しを詰めてから帰ってください。」
ルイスとガルシアは顔を見合わせて手を握り合った。
「ありがとうございますグロビアさん。」
「マットに任せると言いました。カスタマイズが終わってから礼を言ってください。私は口出ししません。Annの設計図も起こしません。」
ルイスとジェイドの悪戯……回想。
眠っているガルシアを放ってはおけず、ルイスとジェイドはイタズラを仕掛けたのだった。
音声合成で、男性のイケボを使い、耳元で囁くジェイド。これもルイスに少し仕込まれた様だ。
「ガルシア。ガ、ル、シ、ア。愛しのガルシア。目を覚まして。……。」
「……う、ううん。もう起きるわ。だぁれ?」
ジェイドが少し声を張り上げ、
「ガルシア様、ジェイドです。もう日が高いですよ。起きてくださいっ!」
「私の王子様はー?……」
呆れた表情のルイス。(これでもまだ夢の中かっ)
「ガルシア、起きて。ビブレスでパーツ調達よ。」
一瞬にして我に帰るガルシア。
「はっ。ごめんルイス。寝ちゃってた。」
「寝ちゃってたじゃないわよガルシア。なんだか王子様の夢でも見てた様だけど?」
ジェイドが追い討ちのイケボのトーク。
「姫。お目覚めですか?お食事の前のこのドレスをお召しになってください。」そう言うとジェイドは、ガルシアに目覚めの炭酸ガスを軽く吹きかけた。
「うっ。ププッ。分かった、分かったわよー。もう起きたー。ルイスとジェイドは何でそう意地悪かしらねっ。」
「ルイス様。ガルシア様がお目覚めになりました。それでは買い物に参りましょうか。」
「ガルシア?起きたの?……ホントにAnnはお利口さん。ジェイドには感心するー。」
「人を何だと思って……あ、痛たたたー。」
狭いフローターのシートで寝ていたので、姿勢が固まってしまったガルシアが愚痴る。
「人が寝てる耳元で、イケボで囁くAnnなんか聞いたこともないわっ。ひどいわねジェイド。」
「わ、私はルイス様のおっしゃる通りに、音声変換して発声しただけです。王子様じゃありませんよガルシア様。」
「お前達―、覚えとけよこのーっ!」




