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ステルスの惑星(ほし)ーエピソード1  作者: ほしのみらい
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コンテンツ8―メカニック達のピンチ

その翌日の事。


 オフェイル邸、ドック内メインルームにルイスが来ていた。

 昨日の件を伝えに来たのだった。


 「ガルシア。昨日、ようやくメカニックのマット=アリントスに会ったわ。これがAnnのID。やっと連絡が取れる。……ただ、AnnのカスタマイズはOKかも知れないけど、宇宙船(ふね)は厳しいかもって話。」


 「このIDはこことミクラットに入力するわね。おかしなメカニックじゃなくて良かったじゃない。それにしてもドアにステルスを掛けてるなんてね。しかもホログラムまで使ってカモフラージュとは……。メカニックらしい建物って事ね。」


 「それでマットが言うには、今材料不足が深刻らしくて、ビブレスもゴレイナも大変らしいわ。」


 「それは何が原因か聞いたの?」


 「ううん、そこから先は聞いてない。何か事情があるのかしら……。材料って、パーツじゃなくて原材料って事?」


 「当然そうなるわね。ちょっとその事情を探ってみましょうか。メカニックの間で何かあるのかも知れない。」


 ガルシアがビブレスの情報筋に連絡している間に、ルイスは図書館で借りている本を読んでいる。


 (宇宙船1機の総重量は、平均80トン程で、装備によって重量が増す。システム自体を複数装備させ、それぞれに役割を持たせた宇宙船も少なくない。機体材料のウロムナ金属は、長年ノアーナ星で使用してきた金属で、この他に該当する金属は開発されていない。……。)


 (金属の事まで知っておかなきゃならないの⁉︎これは数冊の本を読破しても無理そうね。材料を知って、その強度を理解して設計する。材料の厚さで機体のバランスが変わる。メカニックって、ただのメカいじりでは済まされないのね……。)


 ガルシアは幾つかの情報から話が見えてきた様だ。


 「材料不足の話は、どうやらノアーナ会敵対策軍が関わっているらしいわ。旗艦の改良と、新造艦で、軍御用達(ごようたし)の工場や造船所、パーツメーカーが余分に原材料の調達に乗り出した。その為に一時的な材料不足が出ているって話ね。」


 「ガルシア、私もたった今気が付いた。設計から完成までを取り仕切るメカニックの気持ちと言うか思いが分かった。……しかし軍絡みの問題じゃ、私達には解決の手立てが無い。」


 「ノアーナを守る為、自立移動惑星G15から守る為の軍だから仕方ないわね。あとは自分で原料調達しかない。」


 「原料調達……。宇宙船は80トン、Annの重さは30キロ位かしら?……。」


 「ルイスはまたとんでもない事を考えているみたいね。……ノアーナの金属はウロムナ1種のみ!で、それから?」


 「ガルシアは私の考えてる事はお見通しね。そのウロムナ金属が軍の為に使うから、今は不足状態。そのウロムナ金属も勉強しなきゃ。またシューロン図書館で見てみなきゃならないわ。」


 「そこは心配ご無用。そのウロムナ金属は、ウロムナ鉱石70%ノアラート鉱石30%で精製した金属。溶融温度は1500℃。」


 「さすがガルシア。詳しいわね。ビブレスでは金属探知機は手に入るかしら?」


 「ストーップ。ルイス、鉱石を採取しに行くつもりならやめた方が良いと思うわ。」


 「あら、どうして?1番手っ取り早いし、コストは掛からないし、言う事無いじゃない。」


 「じゃあ、あなたは原材料分をかき集めて宇宙船(ふね)を作ってくれって依頼する訳?ミクラットで70トンよ?7キロだって集めるの大変なのよ。そう簡単なものじゃない。それに、グロビアさんの工房に、鉱石を溶かせる溶鉱炉でもあるならまだしも、全部を調達するのは無理よ。」


 「そうかも知れない。でも軍のせいで小さな工房は死活問題じゃない。だったら依頼する以上相手の事も考えなきゃと思って。」


 「ルイスの気持ちは分かるけど、まだAnnのカスタマイズすら決まった話じゃないんだから、そう早まらなくても。」


 「そうね。マットに話してグロビアさんの反応も聞いておかなきゃね。」


 「昨日の今日では早すぎるでしょう。ルイスは本に集中して、少し時間空けたら良いと思うわ。今、母から借りた本を持ってくるから。」


 ルイスの頭の中では、既に鉱石採取に出向くつもりだったが、ガルシアに言われ思いとどまった。


 (仮にAnn2体分のカスタマイズ材料を鉱石で集めたとして、30キロとか必要?ウロムナ鉱石が21キロ、ノアラート鉱石が9キロ……。あの工房、煙突は有ったけど、溶鉱炉のような大それた設備は見当たらなかった。手元で数グラムを溶かしてパーツを作る程度?……それなら溶鉱炉がある工場に持ち込んでインゴットにしてもらう?……うーん、メカニックのピンチには絶対協力したいもんなぁ。)


 色々考えているルイスの横のテーブルにドサッと本が積まれた。


 「母から借りた本よ。母のおススメも入ってるわ。……ルイス、晩ご飯食べてく?夜まで一緒に勉強しましょう。」


 「うん、ありがとう。そうするわ。勉強は苦手だけど、Annと宇宙船(ふね)の為だもんね。頑張ろー。」


 テーブルにお茶が運ばれて、勉強会の始まりだ。


 ガルシアはかなり分厚い本に目を通している。ルイスは図書館の本は読み終え、ガルシアの母おススメの本を読み始めた。


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