コンテンツ71ー再びブロントとの約束
テーブルに座り、昔を思い出していたルイス。
「ジック、ガルシアに連絡……あ、いいわ。何でもない。」
「ルイス様。連絡ならソディナに通信入れますが?」
「いいわジック。まだまだコンテストの話題で盛り上がってるでしょうから。……特に用事が有る訳じゃないし。」
「ルイス様。カウルからの受信です。フローターではなく私に通信です。繋ぎますか?」
「多分ブロントなんでしょう、いいわ繋いで。」
「はい。こんにちはカウル。」
「ルイス様。優勝おめでとうございます。今ブロントに代わります。」
「こんにちはルイス。今朝のネットワークニュースで知ってね。優勝おめでとう。凄い記録が出たらしいね。」
「あ、ありがとうブロント。でもその記録はまた塗り替えられるわ。」
「そんなことはないよ。君の記録は、世代が変わっても追い抜けない記録だよ。ノアーナ最速の宇宙船が誕生したって大変な盛り上がりだ。」
「ところでブロント。用事は何かしら?」
つい冷たく当たってしまうルイス。
「あぁ、申し訳ない。祝福の言葉をと思って……。先日はカウルがジックと同期している様だったから、フローターにじゃなくジックに通信してみたんだ。ごめん。」
「わざわざありがとう。今日は仕事ではなかったの?」
「日中、自宅に戻る用が出来たんで、戻って直ぐに君に連絡したくてね。それから……その……通信だけじゃなく、今度会って祝福したい。ルイスの都合の良い日を教えてくれないかな。」
「気持ちは有難いけど、まだコンテストの熱が冷めてなくて……今は遠慮する。それに大会後、グロビアさんにまだ会ってないし。応援してくれたガルシアの両親にも会ってないから……。ごめんなさいブロント。私の都合で構わないなら、空いてる日を必ず伝える。日中、カウルにメッセージを残すわね。」
「分かったルイス。君の都合に合わせるから。じゃ連絡待ってるよ。」
ブロントからの通信を終えると、ジックはそのまま部屋の隅で待機モードになった。ルイスはテーブルで頬杖をつきながら考え事。
(そうだった。ブロントの事なんかすっかり忘れてた。あまりしつこく誘ってこないのは、彼の考え有っての事かしら?先日は長官へメカニック達の現状を話してくれた……それは彼の意思の様だし、グロビアさんも悪い人では無いと話してた。おかげで小さな工房も動けるようになった。私もちゃんと接しなきゃいけないわね……。適当にあしらいすぎた。少し考え直さなきゃね。)
「何を物思いに耽ってるのー?ルイスー?」
「わっビックリしたーっ。ガルシアー。」
「ジックにドアロックを解除もらったわ。考え事の様だって聞いたから、勝手に入ってきたわよ。」
ガルシアがルイスの自宅に黙って入る事はほとんど無い。
「ガルシアなら夜中に入ってきても構わないわ。でも初めてだったからビックリしただけよ。さぁ、座ってガルシア。」
「それでー?ジックが気が付く程の考え事って何かなー?ソディナに通信してきたわよ。ルイスは何やら考え中ってね。」
「グ、グロビアさんの事でしょ?優勝報告をしたいのに、今日は連絡が取れないのよ。」
「それは私も知ってる。今朝連絡したけど、既に2人共お出掛け。多分組合に出向いてるんだわ。で、ルイス。それからそれからー?」
「ほ、他に何も無いけど?」
「頬杖ついて、なーに考えてたのかしらん。」
ガルシアはジックとソディナの方に目を向けると、
「あの子達、もう同期終わって待機モードねー。同期終わったなら帰ってからソディナに聞いてみようかしらー?」
(そうか、ブロントとはジックとカウルの通信だったんだ……。し、しまった〜〜〜。やっぱり隠し事は出来ないわね。)
「もーガルシアも意地悪ねー。……分かったわ。……さっきブロントから祝福のメッセージをもらったの。」
「で、ルイスはまたお誘いを受けたにも関わらず、軽くあしらってしまった。って事かしらね。」
「大会後、まだガルシアの両親にも会ってないし、グロビアさんに直接報告出来てない。誘われはしたけど、軽くあしらったりはしてないわ。他の用事が済んだら必ず連絡すると約束したもの。もうジックとカウルは同期出来てて通信出来る。ジックに通信が来たの。嫌でも仕方ないわ。」
「またまたー。ルイスだって少しは気にしてるんじゃないの?」
「ううん。連絡来るまで一切忘れてた。」
「ま、まぁ、今度はあなたが必ず連絡すると約束した訳だし、ホッとしたわ。」
「ガルシアにホッとされてもなぁ……。ところで今日は直接ウチに来たりして、どうしたの?」
「そうそう!それよ!今晩のお誘いに来たの。両親が優勝のお祝いをしようって。で、ルイスにお祝いは何が良いかって聞かれたんだけど……。」
「そんなお祝いだなんて。ガルシアの両親にはノアラートの件でたくさん情報もらった。大会ではスタート寸前に連絡をくれたでしょ?もしあの連絡が無かったら、探知機だけに頼って飛んでたわ。ケイドのスピードと目視でポイントが早く見付かった。会って感謝するのは私の方よガルシア。」
「そう言う返事なんだろうと思ったわ、ルイス。さ、これからエンジャーの市場に買い物に行きましょ。今晩はバーベキューに決めたの!ルイスには何かプレゼントするより、これだって両親には話したわ。両親とのバーベキューも久しぶりだし、良い優勝パーティーよ。」
「ガルシアの選ぶ肉には目がないんだよぅ。楽しみー。……でも私達、大会の時もバーベキューしたけど……。」
「まぁまぁお嬢さん。今日の肉は最高ですぜ。」
「だ、誰だ……。」




