コンテンツ51―ケイドの隠し球
ようやくマットからの連絡が入った。
「ケイドの前方、左右2ヶ所にセンサーが有る。通常より出力を増幅させておけば、スピードがついてても発見は出来るよ。高度50以内まで下降するのであれば、先ず発見する事を最優先で航行したらどうかな?」
マットが工房に戻って来て、連絡をくれた。コンテストの案内データを送った後のマットの意見だった。
「それが、ケイドの探知機では、航行中だと高度80が限界みたい……。」
「コンテストはロワートさんが詳しいから、戻ったら連絡する様に伝えるよ。多分何か得策が有るんだと思う。前回王者は、想定位置を解析してリターナを2周したらしい。ポイント探しが勝敗を左右するのは間違い無いね。じゃ、連絡待っててよルイス。」
「分かったわ。ありがとう、待ってるわ。」
通信を終えると、ケイドに入って行くルイス。
メインルームのモニターテーブルでは、ジックが作戦を立てている。
「ジック。マットから連絡が来た。前回王者はリターナを2周してポイントを見つけたらしいわ。やっぱりスタートの順もハンデに入るのかも知れない。ケイドの前方にセンサーが有って、出力を増幅させて探知したらどうかって。」
「やはりそうでしたか。私は、ID発表から常に移動位置を計算しながら周囲を探知する方法が1番良いと感じました。」
「ID発表が唯一のヒント。経過時間を正確に管理しながらポイントの移動位置を計算して探知する、それともリターナを周回してでも探し当てるか……。」
「スピードプラス、ポイントの早期発見って事ですね。ルイス様。」
「ジックとソディナ、ケイドのAIユニットをフル活用してポイント探知の作戦かしら……。ケイドの製作中も、グロビアさんはコンテストエントリーは考えていたようだけど、何か良い方法が有るのかも知れない。連絡を待ってみましょうジック。」
「了解、ルイス様。」
陽が暮れてルイスの家も暗く沈んで周囲の景色に溶け込んでいる。そこへようやくグロビア氏から連絡が入った。
「ルイス様。ジェイドからの受信来ました、このまま繋ぎます。どうぞ。」
「やぁ、こんばんはルイス。連絡遅れてしまってすまない。マットから話は聞いたよ。コンテストの作戦で困っている様だね。大丈夫心配無い、その対策は取ってあるよ。……ケイドのコクピット、センターコンソールに、ゴーズと記したスイッチが有る。小型遠隔探査機で、左右の翼に格納してある。名付けてゴーズフローター。……発射指示と同時に発射する。あらかじめ探査データを入力すると、ケイドと分かれて別行動する小型探査機だ。今回のコンテスト用に格納させたが、ガルシアとソディナの為にも役立つアイテムだよ。」
「グロビアさんはコンテスト内容を知っていて作ったんですね。」
「その通り。昔は単に往復競技だったが、ある時期から今のルールに変更された。ハンデがより厳しくなった印象だが、ポイントさえ探し当ててチェックすればハンデは問題無い。特にケイドにはね。」
「で、そのゴーズフローターの使い方は?」
「うむ。使い捨てでは無いので、指定した入力地点に戻ってくるよ。もちろんリターナで使用後にノアーナの自宅ドックに帰還ってのも有りさ。宇宙船の様に早く帰還は出来ないが、必ず戻る。戻ったら再び格納すれば良い。サイズが小さいのとスピードの関係で、レース中の収容は出来ないだろう。レース後に自宅ドックにただいまーって帰ってくるさ。」
「小鳥ちゃんが手助けしてくれるんですか。入力データを探索すると言う事は、ケイドの他に2機が探してくれる訳ですね?」
「その通り。ケイドのスピードは桁違いになるのは分かっている。ルイスはもう体感しただろう?あのスピードでゴーズフローターは回収出来ないが、空中停止状態なら回収可能だがね。ゴーズへの入力はコクピットから出来る。回収か帰還IDの入力を忘れないでくれよ。戻って来なくなるからね。」
「レース前にテストが必要かも……グロビアさん、ノアーナ星でも大丈夫かしら?」
「それはどこでも同じ、ケイドか指定IDに戻って来る。これは近い将来、フローターに装備させて無人化させる為の機能。」
「グロビアさんの最新技術の塊ですね。分かりました。テストします。」
グロビア氏と通信を終えると、
(でも明日はブロントと食事に付き合わなきゃ……。気が進まないなぁ。)




