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ステルスの惑星(ほし)ーエピソード1  作者: ほしのみらい
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コンテンツ5―謎の工房

 ルイスは今日もビブレスに訪ねに来ていた。駐機場から歩いて向かう。


 通りを歩くとまもなく工房が見えてくる。


その目的の工房のドアは、正面には無く、横に有る。


そこへ、昨日Annを連れているのを見かけた男性に出会(でくわ)した。


ルイスの歩く通りの向かいから、そのAnnと男性が歩いて来る。


……歳の頃はルイスと同じ位。Annに荷物を持たせて、更にその男性も荷物で手が塞がっている。Annはそのまま通りを曲がり、工房建物の横に入った。

 

 その男性は、通りを曲がる時に箱のバランスが崩れ、上の箱を落としてしまった。


 ルイスは直ぐ目の前に落ちた箱を拾い上げ、男性に声を掛けた。


 「箱、落ちましたよ。」


 「あぁ、すみません。この箱の上に乗せてもらえませんか?」


 「あの、こちらの工房の方ですか?」


 そのまま通りを曲がる2人。


 「え、ええ。そうですが、何か?」


 「良かった、会えたわ。……私、昨日訪ねたルイス=タイラーと申します。」


 「あぁ。昨日のドアモニターの方。確か昨日は通りですれ違いましたね。何か御用でしたか?」


 「ええ。それで今日も伺いました。先日は勝手に裏手にフローターを停めてしまいすみません。」


 「いえ、私はここに仕事をしに来てるだけなので、それはここの主人に……。あー、いえ、お帰りになった方が良いかも知れません。」


 「Annと宇宙船(ふね)の事で話したくて来たんです。その主人って方に会って話せませんか?」


 男性とルイスは通りを曲がった所で立ち話をしていたが、奥へ行ってしまったAnnは姿が無い。


 Annの事に気が付くルイス。

 (変ね、ドアは1つ。あとはドックの出入り口だけ。何処から中へ入ったの?)


 箱を男性の荷物の上に重ねると、

 「また来ます。私はルイス=タイラーと言います。ここのご主人様によろしくお伝えください。ではまた明日。」

言って通りに出ると、駐機場の方に曲がって行った。


 (ルイス=タイラー……。Annと宇宙船(ふね)の話だって?ロワートさんに話したら何て言うだろう。)


 オフェイル邸、ドック内メインルーム。


 ルイスはビブレスの帰りにまたここへ寄った。


 2人はお茶を飲みながら話している。


 「今日は、工房で仕事をしてる人には会えたんだけど、当人には結局会えず終い。で、話が出来たその男性はAnnを連れてたんだけど、先に建物の奥に行ったはずなのに姿が無かったの。あそこはかなり不思議な所よガルシア。」


 「不思議なって、何か仕掛けが有るとか?確かにドア1つ。そこから入った形跡無しなら、別の入口よね。さすが有名メカニック、壁に仕掛けが有るんだわきっと。」


 「仕掛け?音声認識とかで開く秘密の扉とか?建物にそんな仕掛け作らなきゃならない位のメカニックさん?」


 「そうね。変わり者かどうかは別として、ビブレス1とも噂されてるそうよ。設計、材料やパーツの手配、組立作業……。会えたって人はお弟子さんなのかしら?」


 「さぁね、ここで仕事しているだけって言ってた。最初に1人で行った時にすれ違ったの。彼はそれを覚えていたわ。その時も、今日もAnnを連れてた。やっぱり私もAnnは必要だと思うわ。今日のそのAnnは荷物を抱えてた。多分普段から役に立ってるんだわ。」


 「ルイスのそのAnnに対する感情は何で生まれたの?何かキッカケでも有った?」


 「そんなの無い。ミクラットに乗ってリターナへ行って。たまに軍の偵察フローターから逃げなきゃって中で、私とガルシアでは限界が有るのが分かったから。」


 「確かにミクラットのあちこちに音声認識の機能を持たせたいのは有るなぁ。それプラスAnnって事になれば、リターナ以外の場所へも楽に行ける。そうなれば、色々研究に役立つしなー。」


 「ミクラットはやっとオートでも飛べる様になったところだし、これからもカスタマイズしなきゃね。」


 「そぉなの。本に書いてある様にカスタマイズしようとしても時間が掛かるんだよー。メカニックの知識無しじゃ、本の真似にしかならない。応用するほど知識がないんだもん。」


 「そんな事言ったら私はどうするのよー。宇宙船(ふね)の操縦しか出来ない。メカに弱いからフローターのメンテナンスですら大変。これからはメカニック任せなのは良くない。自分の知識を多く持たなきゃ。」


 「メカニックの気持ちになる作戦?」


 「作戦じゃないわ。実際に知識を持たなきゃ。メカニックと話も出来ないでしょ?図書館通いもしなきゃダメね。」


 「そ、そこまでか。……ルイス、母の図書室にもメカの書籍が有るかもだから、聞いておくよ。」


 「ありがとうガルシア。そうなったら、ここでは少しは勉強しなきゃいけないわね。」


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