コンテンツ43ー新造宇宙船の名はケイド
グロビア氏のドック内。試運転を終え、細部の修正作業、微調整。全て済んだ新造宇宙船。
今は細かい動作チェックの最中だ。
ドックに駐機された宇宙船は、大きな油圧バーのテーブルで4隅を支えられている。
コクピットのマットと、外でジェイドを介したグロビア氏のやり取りが続いている。
「マット、着陸装置の格納テスト。」
「了解、着陸装置格納。」
船首部分の1ヶ所、後部機体左右の2ヶ所の着陸装置の収納テストを行った。
収納された着陸装置が再び展開する。
「よし。上昇下降用ブースターのノズルとシャッターのテスト。」
機体下部で様子を見守るグロビア氏。
「作動状態良し。」
「こちらもモニター異常無し、テストOKです。次はステルス掛けます。」
機体にステルスが掛かっていく。下部に接していた油圧バーのテーブルごと姿が見えなくなった。
グロビア氏が宇宙船の周囲を確認して歩く。
「マット、ステルスは異常無し。モニター上はどうだ?」
「こちらも問題ありません。センサー他のデータ異常は見られません。」
「よろしい。ではステルス解除。」
「了解。次にコクピット左右の操縦桿の操作します。後部確認をお願いします。」
推進機関の近くに立つグロビア氏とジェイド。エネルギー噴射口が動き出す。
「減速……。加速……。左旋回、ゆっくり急旋回まで……。一旦水平位置から右旋回、ゆっくり急旋回……。制動、停止位置に戻します。」
「うむ。異常無しだマット。モニターはどうだ?」
「モニター異常無し。正確に同期しています。」
「上昇下降用ブースターのテスト。」
「了解。上昇……下降……着陸まで。……ロワートさん。どうですか?」
「いいだろう。問題無い。……よし。では外部センサー類の全てのチェックと船内気圧調整テストにかかってくれ。終わったらハッチオープン。」
「了解しました。」
マットは気圧調整テストの為にヘッドカバーを装着し、ハッチを閉じ、チェックとテストを行った。
グロビア氏は隅のテーブルに腰掛けコーヒーを入れ始めた。
「ジェイド。宇宙船の油圧バーを下げてテーブルを回収しておいてくれ。終わったら私のところに来る様に。」
「了解です。ロワート。」
宇宙船のハッチがゆっくり開き始めた。
グロビア氏は2人分のカップを手に取り、ハッチに歩いて行く。
ジェイドは最後の1台の油圧テーブルを壁に運ぶと、ハッチに近付いてきた。
「マット、ご苦労だったな。少し休憩しよう。」
コーヒーカップを渡すと、側に来たジェイドに話す。
「ジェイド。ルイスのフローターかモニターテーブルに通信。」
「了解、ロワート。」
「ロワートさん、あとはIDと船名の登録で終わりです。」
「長かったが、思っていたより早く済んだな。彼女達のノアラート採掘のおかげもあって、金属パーツの工場は快く引き受けてくれたよ。しかも代金も抑えられた。ルイスからは高額の請求は避けようと思う。」
「俺も賛成です。純度が高いノアラート鉱石に業者も驚いてましたよ。システムユニットや最新のAIユニットも手に入れてもらい、他のパーツの調達も彼女達が出向いてくれました。」
「そうだな。何やら泥だらけになって採掘していたって話だ。宇宙船の為、私達のサポート。そのおかげで作業が捗ったのだから、万全の状態で引き渡さねばメカニックの恥晒しになる。」
「ロワート。ルイス様のモニターテーブルに繋がりました。」
「こんにちは、ジェイド。今日はどうしたのかしら?」
「やぁ、こんにちはルイス。」
「あらグロビアさん。どうしましたか?またパーツ調達のお手伝いかしら?」
「いや、そうじゃないルイス。宇宙船の引き渡しがそろそろ出来る。ずいぶん待たせたね。それで今日はIDと船名の登録が必要になるが、船名は決まっているかな?」
「はい。船名は『ケイド』でお願いします。」
「ケイドだな。分かった、その船名で登録する。明日は都合はどうかな?ガルシアと一緒に来るかい?」
「はい。明日早めにジックとソディナも連れて伺います。」
「では明日、引き渡しだが、その時面白い話が有る。楽しみに来てくださいね。」




