コンテンツ42―宇宙船の名はお楽しみに
ソディナのメモリー差し替えの為の調査分析で、度々クワレスに向かっていたルイス、ガルシア、ジック、ソディナだったが、採掘した鉱石BOXはもう一杯になりルイスのドックに収まっている。
今日は珍しくガルシアとソディナだけでクワレスに来ていた。
ガルシアはソディナの後に付いて歩いている。
ソディナ自身のメモリーはかなりの確率でデータが差し替えられ、書籍のデータの曖昧さが露呈する結果だ。
ガルシアはそれを知ってか、絶えず新しいデータに差し替えをソディナに指示してきた。
「ソディナ。今日はどんな感じ?新しいデータは取れそう?」
「ガルシア様。ここクワレス以外のデータを今度参考にしたいです。何故なら、この周囲はもう調査の必要は無いと思います。」
「そうね。ノアラートもルイスのドックに一杯有るし、クワレスから離れましょうか。帰ったら理想の地域を調べるわソディナ。」
「私もデータを整理したら、候補地を推薦します。お願いします、ガルシア様。」
「じゃ、今日は早々に帰りましょ。」
「了解、ガルシア様。」
一方、今日のルイスとジック。
フローターのパワー全開で、エンジャー郊外で操縦の練習。
ルイスのフローターは、コクピットが特殊で、センターに1人と後部にキャプテンシート2人、簡易シートで1人という乗員配置。
コクピットシートはジックが座り、ルイスはシートには座らず、近くで指示をしている。
「もう左右回転しながら飛ぶのはOKね。オートでしばらく上空を旋回しましょ。その間にデータ整理よジック。」
「了解、ルイス様。」
「何度も言うけど、重力と大気摩擦は星によって違う。それはしっかり分析して、エネルギー供給から出力パワーまで計算する事。機体の大きさに左右されるし、外観の形状によっても変わる。機体のデータも加味して操縦するのよ、ジック。」
「ノアーナ星では、十分データが揃いました。リターナや大気圏外の重力の影響が少ない所での操縦も訓練が必要です。」
「ええ、考えているわジック。新しい宇宙船が出来上がったら、嫌と言う程操縦出来る。その時まで待ってね。データ整理が済んだら、ジェイドに通信して。」
かなりの上空で旋回しているルイスのフローター。
地上に近い高さを、行き交うフローターや宇宙船が小さく見えている。
(宇宙船の名は決めた。夕べ寝る前にひらめいた。宇宙船の名はケイド。……ジックは気に入ってくれるかしら。)
「ルイス様、ジェイドに繋がりました。どうぞ。」
「やぁ、ルイス。久しぶり。今日は?宇宙船の様子が聞きたいって事かな?」
「こんにちはマット。えぇ、その通り。どんな具合かしら?もうじき完成かと思って連絡したの。」
「宇宙船の試運転を昨日して、今日は細かい手直しだよ。ステルスが少し甘かったし、船首部分のプラズマ溶接が甘くて、速度警報が出てしまった。他にもロワートさんから色々指摘が有って、時間が掛かりそうだ。引き渡しはまだ先になる。」
「分かったわマット。……あ、それから宇宙船の名前が決まった。登録の時、また連絡待ってるわ。」
マットとの通信を終えると、会話が気になったのか、ジックが聞いてきた。
「ルイス様?新しい宇宙船の名前とは?もう決まったんですか?」
「えぇ、決めたわジック。夕べ寝る前に決めたの。知りたい?」
「それはルイス様にお任せします。私は、機体を紹介された時でいいと思っていますから。」
「その時までのお楽しみって事?」
「まぁそんなところです。」
「それは操縦士ジックとしての気持ちなの?」
「機体データが無く、宇宙船名だけのデータでは……IDもないわけですから。」
「なるほど。データが揃ってからって事ね。」
「私の楽しみです、ルイス様。機体データ、名称、ID、試運転、航行データ取得……全て楽しみにしております。」
「楽しみにし過ぎねジック。私と同じ。試運転が楽しみだわ。」




