コンテンツ41―宇宙船まもなく仕上げ!
ある日のグロビア氏のドック。
ドックの壁のそこここに貼ってあった設計図は、今は無くなった。その分、機体部分に何枚かの設計図が貼られている。
宇宙船の外観はほぼ完成し、足回りである着陸装置がしっかり機体を支えていた。
ジェイドが小さなパーツの箱を運んでいる。ハッチから中へ入っていく。
宇宙船の中では、グロビア氏とマットが作業中。
「ロワートさん、推進機関の左右の位置は図面通り設置完了です。」
「よし。マット、そこは私と代わろう。微調整せねば。それから、全てのスライドドアの溶接が甘い。ドアは隔壁代わりにもなるのだ。隙間があってはダメだ。機関周りのプラズマ溶接は私がやっておくよ。」
「すみません。ドア周りは直ぐに直します。」
作業をしながらなので、離れると少し声が大きくなる2人。
「おーいマット。左右のフライホイールの同期は終わったかな。」
「終わってますよー。同期を残してるのは推進機関だけです。溶接が終わったら取り掛かりまーす。」
ドックの中に2人の声が響いている。
(今回の設計図はほとんど私が起こしたが、それにしてもマットの作業ぶりは良くなった。この先彼の独り立ちも考えてやらねばな……。)
推進機関の設置微調整をしながら、グロビア氏は考えていた。
ドックに姿を現した新造宇宙船。グロビア氏の設計上では50トン級宇宙船と言う。
ミクラットが丸みを帯びた機体なのに対して、この新造宇宙船は、大気圏内での航行で抵抗を抑えるために、流線型の船首部と、短い翼が見える。
外装のプラズマ溶接の後、綺麗に磨き上げ、青黒い機体が鈍く輝いて見える。
ウロムナ金属は、腐食酸化が無く、塗装という概念は作業工程に無い。所有者の好みによってワンポイントの記号や紋章、あるいは図柄を施している。
年に数回、大気圏外で宇宙船の様々なコンテストが催され、メカニックと所有者が自慢の宇宙船を披露する。
グロビア氏は、この新造宇宙船を、スピードコンテストに参加させる予定でいるが、この事はまだグロビア氏の胸の内の考えだった。




