コンテンツ38―ジックの特訓
「ルイス様。まもなく目的地上空に到着します。」
「分かったジック。今行く。」
ルイスがコクピットに戻り、オートを解除する。
「ジック、このスピードからの着陸をマスターしてね。減速後の現在のパワー65%、このままゆっくり減速。」
「了解です。しっかり記録します、ルイス様。」
ミクラットは、パワー50%に減速したところで目的地上空を旋回、戻りながらまた旋回。これをパワーダウンしながら行い、上空待機状態に姿勢制御。
これはルイスのマニュアル操縦の時の方法。マニュアルながらここまでの操縦をする者はなかなか居ない。
「ジック。ここまで出来れば、後は下降して着陸よ。」
「航行データは全て記憶出来ました、今後に役立てます。」
「よろしい。但し、リターナでも重力はあるの。ノアーナの20%程の重力が残ってる、メモリーしといてね。それでは着陸―。着陸装置オープン。……こちらミクラット。管制のソディナ、ミクラットは今、目的地着陸。」
「こちら管制。目的地着陸了解。」
「ソディナ。少しここで往復操縦して帰る。また連絡入れるわ。」
「了解しました。ルイス様。」
ミクラットは目的地に着陸し、ソディナと通信を済ませた。
「さぁ、ジック。今度はあなたがパワー50%位で飛んで、しばらく先でUターン。この地点で、急制動か、旋回しながら減速で着陸してみて。Uターンのタイミングは私が指示するわ。」
「了解。それでは飛びます。」
ミクラットは上昇しながら加速していく。
「パワー50%。このまま航行。」
ノアーナ星大気圏内の、普段のフローターより少し早い位のスピードで航行しているミクラット。
「ジック、じゃあここでUターン。さっきの地点に戻って。」
「了解。ルイス様。」
急制動を掛けて機体のみ向きを変え、直ぐにパワーを戻したジック。そのまま50%のスピードで戻っていくミクラット。
元の地点。急制動から向きを変えて水平を確認後、下降、着陸した。
「ジック。急制動で向きを変えたのは何故かしら?」
「パワーダウンしながら大きく旋回する程のスピードでは無い事。消費エネルギーからの判断も加味した結果です。」
「それを私の指示の後に決定した訳?」
「その通りです。」
「凄いわジック。ただ、同乗者がいる時は注意する事。……ではもう一度。今度はパワーを75%にして航行。Uターンはまた指示する。さ、発進して。」
「了解、ルイス様。」
上昇しながら加速するミクラットだが、さっきよりパワーアップして加速していく。かなり速く航行している。
「ジック、Uターン!」
ミクラットは、制動を掛けながら機体を傾け、向きが変えられるまでパワーダウン。機体の向きを旋回しながらパワーアップ。180度旋回したところで75%までパワーアップして戻ってくる。
元の地点で、今と同じ操作で下降、着陸した。
「私の操縦そっくりねジック。完璧よ。」
「ありがとうございます。次はパワー100%で飛びますか?」
「ううん。もう大丈夫。ジックはパワー100%でUターンする操作は予測出来てるでしょ?」
「はい。ミクラットのパワー100%でのターンは困難です。機体を傾けながら大きく旋回して戻るか、垂直姿勢でパワーダウンし、向きを修正しながら、降下を避けてフルパワーまで復帰、戻ってくる。この2通りでターンします。」
「じゃあジック。もう一つのターンを教えるわ。ハーネスも繋いでデータはしっかり記録するのよ。」
そう言うと、ルイスはミクラットを上昇させ、フルパワーで航行を始めた。
「さぁ行くわよー!」
しばらく飛んで、ターンの位置まで来ると、ミクラットは急上昇。そのまま、向きを来た方向へ変えていく。同じ航行ラインに上下逆さまで飛ぶ。その後、機体を上下回転させ姿勢を戻すと、元の地点に向かった。
「こういうターンも有るわ。フルパワーのままだから、Gが凄いけどね。ジックの場合は、ターンの寸前でジャイロをoffにして、ターンから姿勢が戻ったらジャイロをon に戻すといいわ。」
「非常に分かり易いです。ありがとうございます。ドックに戻ったらシュミレートします。」
「いい、ジック。ジャイロはあなた自身の姿勢制御でもある。慣れたらoffにせずに操縦する事。そうしないと機体の上下左右が一瞬判断できなくなるタイムラグが発生する。もし地上や海上スレスレだったら事故になりかねない。だからカメラ画像で機体の向きや傾きを把握しながら、ジャイロと画像を同期させると良いと思うわよ。」
「ありがとう、ルイス様。私の航行技術はルイス様の通りでシュミレートします。今後完璧にこなしていきます。」
「よしっ。じゃ、帰りましょ。……こちらミクラット、管制のソディナ、聞こえる?」
「こちら管制。感度良好どうぞ。」
「ミクラットはこれより帰還します。ドック近くでオートに切り替え着陸予定。」
「了解ミクラット。ドックへの着陸許可完了。お気を付けて。」
ミクラットは帰路に立った。
「ねぇジック?シュミレート後は同じ事を実践って可能なの?」
「実践可能割合まで算出するので、私で可能な場合もあります。データ割合が危険範囲内にある場合、別のデータ取得が必要になります。ですが、今日の航行データで十分なので、実践可能率はほぼ100%と思われます。」
「そうなの?それなら心強いわジック。」




