コンテンツ33―カスタマイズ完成
翌日早々……。
「ガルシア。もう行くわよ。早くー。」
「ルイス。そんなに慌てなくても大丈夫よ。フローターはどっちので行く?」
「もう準備出来てる。私のフローターよ。」
「もうルイスったら、洗浄カプセルに入るくらいの余裕はあるでしょー?ちょっと待っててー。」
待ち望んでいたAnnのカスタマイズ完了。
ようやく迎えたその日。2人はかなり興奮している様子。かなり動揺している様子……であった。
支度が済んで、ルイスのフローターがガルシアのドックを飛び立つ頃にはもう陽が高かった。
グロビア氏の工房脇に着陸するルイスのフローター。
出迎えに出て来たジェイド。
「こんにちはジェイド。」2人は声を揃えてジェイドに挨拶。
「ご案内します。こちらへ。」
ジェイドに促され、付いていく2人。裏の出入り口の前。
「ジェイド、ちょっと待って。」
ルイスは気持ちを落ち着かせるためにジェイドにストップを掛けた。
ガルシアも同じ心境で、胸に手を当てて、その場で立っている。
「お二方?もう中に入って構いませんか?」
2人は顔を見合わせ、お互い頷いた。
ステルスの掛かったいつものドア。
いつものように開いた。
「お二方。さあ中へどうぞ。」
ジェイドに促されたものの、2人はその場から中に歩けない。
「どうぞ中へ。」
ジェイドの言葉にも、足が先へ進まない。
ルイスとガルシアは、肩を組んで工房の中に入った。
「こんにちは、お二人さん……なんで肩組んでるの?」
ルイスとガルシアはそそくさと離れ、
「こんにちはマット。」声を揃えて挨拶している。
「2人は相変わらず仲良しなんだね。」
工房の奥からグロビア氏が歩いて来た。
「お二人のAnnは、ご希望通りに完成したと思いますよ。マットが良い設計図を引いたので、私も満足です。」
「さぁ、ルイス、ガルシア。話しかけてやってくれ。」
マットの背後には、ジックとソディナが佇んでいた。
「ジック?私、ルイスよ。」
「ルイス様。カスタマイズは終わりました。今直ぐにでも、ご一緒にお出掛けしたいです、」
「ガルシア様。カスタマイズは終わりました。今直ぐにでも、天体観察に連れてって欲しいです。」
カスタマイズ後、初めてのAnnのメッセージだった。
「マット。今後のメンテはどうしたら?」
「ルイス、それは彼等に聞いてみたらどうかな?」
「ジック。今後のあなたのメンテナンスはどうしましょう?」
「ルイス様。私はしばらくはメンテナンスは必要ないです。……ですが……マット様にお願い出来ればと思います。」
ルイスはジックを抱きしめ、
「良いわジック。マットの仕事の合間にメンテを頼みましょう。」
ガルシアとソディナの間でもメンテの話が出ていた。
「ガルシア様。マット様がメンテナンスを引き受けて頂ければ、何よりの幸せ。」
「ねぇマット?この子達に余計な事をメモリーさせてはいないわよねねぇ?」
「そ、それは無い。この子達のフィルター次第なのだから、俺にはどうする事も出来ないよ。もちろん、コントロールも出来ないんだ。」
「ソディナ。マットから何か言われて無い?私が主のガルシア。マットはメカニックよ。いい?」
「はい。それは当然です。マットはメカニックでメンテナンスをお願いするのみ。私はあなたに仕えるのみ。」
「マットはこの子達には何も吹き込んで無い様ね。よろしい。」
「カスタマイズ後のフィルターは少し厳しくなってるけど、さほど変わりは無いんだ。それは多分、俺に対する信用なのだと思ってるよ。」
「そうね、マット。カスタマイズには感謝してるわ。フィルターはこのままにしておくつもりよ。安心して。」
「私もルイスと同じ。今後のメンテナンスはマットにお願いするから。」
「良かった。2人の意見が食い違ったり、俺に敵意でも持たれたらどうしようかと思ってたよ。まぁ、今後のメンテナンスは任せてくれていいよ。」
椅子に座っていたグロビア氏が口を開く。
「ルイス。宇宙船の方は進めて良いのかな?」
思いもよらぬグロビア氏の言葉に返事に詰まるルイス。
「は、はいっ。希望通りに進めて頂ければ幸いです。」
「ルイス、設計図はほぼ出来てるよ。面白い宇宙船になりそうだ。」
「ルイス。ロワートさんは、原案を考えた後、設計図まで引いて下さった。面白い装備が盛り沢山だ。」
「グロビアさん。私の宇宙船を作って頂けるんですか?」
「いやね。今朝、ブロントから連絡が入って、軍の計画は職人達に迷惑にならない様に進める……と話があってね。ゴレイナのストライキも無くなった。……と、言う事は、私はルイスの依頼を断る必要は無いと言う事だよ。」
「ありがとうございます。私、ノアラート鉱石を集めていました。明日ここへ持って来ます。」
「ほぅ。ノアラート鉱石を。どの位の量かな?」
「グロビアさん。私とルイスで採掘しました。今現在約200キロ。全然足らない量です。後日また2人で採掘に向かいます。」
「200キロも。君達2人でかい?それは凄い。……だが、もう大丈夫。ビブレスやゴレイナは日常に戻った。心配要らない。ルイスの希望通りの宇宙船が作れるよ。」
「うん。ロワートさんの言う通り。最新機能と、ロワートさんのアイデアが、今回の新造船の売りになる。期待して良いよルイス。」
「で、採掘したノアラート鉱石はどうすれば?」
「ガルシア。それはもう十分だ。ここに運んでくれたら、売却に回すから。」
「う。売れるの⁉︎だったら、ルイスとこの後も採掘するわ。」
「純度が高ければ、高額で売却出来る。その費用で骨組みや装甲を調達しよう。」
「ビブレスでの買い物上手なお二人には、足りないパーツを調達に行ってもらおうかな。」
「もちろんです。グロビアさんがその分ドックに詰めていられるなら、パーツの調達は私達がします。」




