コンテンツ17―ジェイドと2人の交流
眠っているガルシアを放ってはおけず、ルイスとジェイドはイタズラを仕掛けたのだった。
音声合成で、男性のイケボを使い、耳元で囁くジェイド。これもルイスに少し仕込まれた様だ。
「ガルシア。ガ、ル、シ、ア。愛しのガルシア。目を覚まして。……。」
「……う、ううん。もう起きるわ。だぁれ?」
ジェイドが少し声を張り上げ、
「ガルシア様、ジェイドです。もう日が高いですよ。起きてくださいっ!」
「私の王子様はー?……」
呆れた表情のルイス。(これでもまだ夢の中かっ)
「ガルシア、起きて。ビブレスでパーツ調達よ。」
一瞬にして我に帰るガルシア。
「はっ。ごめんルイス。寝ちゃってた。」
「寝ちゃってたじゃないわよガルシア。なんだか王子様の夢でも見てた様だけど?」
ジェイドが追い討ちのイケボのトーク。
「姫。お目覚めですか?お食事の前のこのドレスをお召しになってください。」そう言うとジェイドは、ガルシアに目覚めの炭酸ガスを軽く吹きかけた。
「うっ。ププッ。分かった、分かったわよー。もう起きたー。ルイスとジェイドは何でそう意地悪かしらねっ。」
「ルイス様。ガルシア様がお目覚めになりました。それでは買い物に参りましょうか。」
「ガルシア?起きたの?……ホントにAnnはお利口さん。ジェイドには感心するー。」
「人を何だと思って……あ、痛たたたー。」
狭いフローターのシートで寝ていたので、姿勢が固まってしまったガルシアが愚痴る。
「人が寝てる耳元で、イケボで囁くAnnなんか聞いたこともないわっ。ひどいわねジェイド。」
「わ、私はルイス様のおっしゃる通りに、音声変換して発声しただけです。王子様じゃありませんよガルシア様。」
「お前達―、覚えとけよこのーっ!」
「はいはい。おはよ、ガルシア。パーツ調達にジェイドを連れて行くわ。大丈夫?起きたの?」
「ふぁ〜い。起きた。ごめんルイス、ジェイド。寝てしまって悪かったわ。」
2人と1体は、ようやくフローターを出て、パーツ調達に向かうのであった。やれやれ。
工房のマットはちょっと不安そうに呟いた。
(ルイスとガルシアにセンサーパーツを頼んだけど、大丈夫かなぁ……。なかなか手に入らないレア物も含まれてるからなぁ……。ジェイドはちゃんとお供してるだろうか?フィルターを緩めてもらったが、ルイスとガルシアの2人じゃビブレスで買い物は大変だろうな。野菜を買いに行くんじゃあるまいし……。任せてくれと言っていた以上、帰ってくるのを待つとするか。)
メカニックがパーツ調達に集まる中心街。
ルイスらパーツ調達班の一行は目ぼしいショップに赴く。
「ガルシア。ビブレスのショップは詳しいでしょ?センサーパーツが揃うショップは何処?」
「ちょっと待ってルイス。データは有るけど、このスーツからじゃ知り合いに通信出来ないのよ……。」
「そのためのジェイドよ。IDが分かるなら連絡出来るわ。もちジェイドのIDは伝わらないから大丈夫。」
「なるほどね。じゃあジェイド。このIDに通信して。あとは私が話すから。」
「了解。ガルシア様。」
数人に連絡を取って、安価でパーツが手に入る所を教えてもらったガルシア。
「ジェイド、ここのショップが良いらしいわ。リストのパーツは全部揃うかも。」
「了解、ガルシア様。先ずそのショップに向かいましょう。」
「大丈夫?あてにして良いショップ?」
「大丈夫。使えないパーツをよこしたらタダじゃ済まさないから御安心を。」
一行は、ガルシアの人脈ルートも有って、マットの希望通りのパーツを全て安価で揃える事が出来た。
「どお?ジェイド。満足いく買い物になったでしょ?」
「はい、ガルシア様。マットの希望通りのパーツを調達出来ました。しかも安価で。これならマットは満足するでしょう。」
「ジェイド。ガルシアの人脈は侮れないわ。闇ルートにまで通じてるのよ。」
「了解です。ガルシア様の闇ルートは侮れない。メモリーしました。」
「おーい。それはメモリーしなくていいよー。……ルイスが余計な事言うからよ。もー、ジェイドはお利口さん過ぎるわ。」
ルイスはガルシアの言葉に苦笑い。2人はその中でAnnに対する感情も変わってきたのだった。
「ジェイド。あと必要パーツは?」
「これでマットの希望通りのパーツは揃いました。」
「ガルシア、ここで何か用足し有る?」
「大丈夫。特に無いわルイス。」
「そ。じゃ、帰りましょ。」
一行は工房に帰るべく駐機場に向かった。
グロビア氏の工房では、マットが設計の大詰め。グロビア氏はと言うと……外に出てパイプ(煙草)を燻らせていた。
調達したパーツは、マットの希望通り揃った。しかも安価で調達出来た。
工房横のスペースに着陸するフローター。それを見ていたグロビア氏。
「やぁ、帰ったのかと思ったが今度は何をしに来たのかな?」
「グロビアさん。今、ビブレス中心街に、センサーパーツの調達をしに行ってきました。少しでもお手伝いをと思いまして。」
「フローターの操縦はどなたが?」
「あ、それは私が。」
「ほう、ルイスさんかね。いつもマニュアル操縦かな?」
「はい。私とガルシアは基本マニュアルで飛んでます。」
「ほーお。今時珍しいな。良い腕前だ。……で、宇宙船の依頼はどうなのかね?」
「グロビアさんの都合に合わせますわ。今は材料不足。必要なら私達で鉱石採取に出掛けます。」
「宇宙船の材料分の採掘は無理だよ。板材料の工場に持ち込むとか、インゴットにするか。いずれにしても全体の10%取れるかどうか。大丈夫、宇宙船の事もマットに任せてある。あなた達の意向はマットが理解しているさ。」
3人とジェイドは、調達パーツを抱え、工房に入った。




