コンテンツ1―Annを従える⁉︎
作者まえがき
本編完結までご愛読頂き、感謝致します。
今回、本編に通ずるエピソードが盛り込まれています。
ルイスとガルシアの若き頃の日常が中心で、宇宙船ケイドのエピソードを盛り込み、本編登場人物も若き時代のエピソードを幾つか盛り込みました。
エピソード1では、本編で使わなかった時間の単位を使い、距離の単位も加えています。
本編の読み返しも必要ならば、サブタイトルから探してください、お願いします。
リターナ戦役の後、ノアーナの衛星として存在してきた衛星リターナ。
その戦役の英雄、リグール=ジュード。彼の足跡を求めて2人の女子が度々リターナに上陸していた。
ルイス=タイラーとガルシア=オフェイル。
宇宙船ミクラットを行動の脚とし、リターナのあちこちに上陸を重ね、また自らの操縦技術も向上していく2人であった。
ミクラット内メインルーム。
「今回も収穫無し。ねぇガルシア、何か名案はない?」
「ルイス。リターナをこれだけ探し回っても何も見つからない。遺跡も行った、戦役の残骸も調べた。……もう紋章探しは諦めない?」
「そうね。諦めてもと思う……けど。私達、ここへ来る度に操縦技術が向上してる。これはこれで良しとしなきゃ。」
「あ、ルイス!後方から軍のフローター接近!」
「慌てないでガルシア!先ずステルス全開!」
「ダメよルイス。着陸装置の跡が地面に付いてる。」
「分かった。ステルスを掛けながらこのまま上昇。フローターをやり過ごすわ。」
軍のフローターは時折、かつてのリターナに有った鉱石、ザクラートの採取をしようとする無法者たちを取り締まるために、度々偵察にやって来る。
ルイスとガルシアは、違法な鉱石採取が目的ではないので、逃げる事もないのだが、ミクラットは軍の許可無しで上陸しているので、無法者達と同じ立場なのだった。
「まぁステルス無しでもフローター相手なら大した事はないけどね。……ねぇガルシア、ドックに戻ったら相談が有るの。」
離れていく軍の偵察フローター。
「なぁに?そんなによそよそしくしなくても、この場で話してくれて良いわよルイス。」
「ううん。戻ったらでいいわ。さ、帰りましょ。」
ミクラットはステルスを纏って戻っていく。遠くで軍のフローターが数機みえている。
やがてミクラットがオフェイル邸のドックに戻ってきた。ステルスは纏ったままだ。
エンジャーの自宅周りの目を気にして、発進着陸はステルスを掛けている。オフェイル邸屋上に着陸すると、ドームの屋根がミクラットを覆う様になっている。
オフェイル邸には、ドックの他に、両親の研究室や図書室等が有り、小さな管制室も完備していた。
ドックに戻った2人はシートに腰掛けた。
「ガルシア。私達、Annを従えましょうよ。」
「Ann⁉︎それはまた何で?」
「私達の世代。もうAI技術が進んできた。宇宙船を操縦するAnnも居るそうよ。」
「へー。かなり技術が進化してるね。フローターも宇宙船もオートがメインになるのかしら……。」
「シューロンみたいな大都会は近い将来、マニュアル航行は取り締まりの対象に変わるらしいわ。もうノアーナ中がそうなるのも時間の問題。」
「そうなんだ。それで操縦はAnnに任せようと?」
「そこが課題なのよガルシア。ビブレスではAnnは手に入るけど、カスタマイズが必要なんだって。」
「カスタマイズ?手を加えなきゃダメって事?だったら1から自分で作った方が早いんじゃない?」
「私もそう思った。それに私……Annだけじゃなく、宇宙船も欲しいの。」
「な、何て?……宇宙船が欲しい⁉︎」
「うん。ミクラットはガルシアの宇宙船だもの。私も自分の自由になる宇宙船を持たなきゃ。……ガルシアは惑星の調査が好き。私は、飛ぶのが好き……。だから宇宙船が欲しい。それだけよ。」
「し、しばらくビブレス通いになりそうな予感……。」
「そうね、優秀なメカニックがいるなら、別にビブレスに拘らなくて良いわよ。メカニック探しならゴレイナに行っても良いし。……ガルシア。これからは優秀なAnnを従えなきゃ過ごしていけないわ。」
「うーん。普段はミーハーなルイスだが、今日の意見には賛成できる。」
「ミーハーは余計よガルシア。明日はメカニック探しにビブレスに出掛けましょ。」
「OKルイス。じゃ、明日はビブレスに行きましょ。ビブレスなら任せて!知り合いがいるから、情報集めるわ。」
2人は、Ann探し、そして宇宙船建造のメカニック探しに取り掛かった。