第2話 初めての異世界
そこは森のはずれ。向こうは草原、草が腰より高く所々に低い灌木が生えた草原。こっちは鬱蒼と木々が生い茂る深そうな森。森のはるか向こうにはかすみがかった高い山々が薄っすらと見える。山の頂には雪はない。
気温は、長袖の学ランでも立っている状態では暑くはない。多分、動くと暑く感じるだろう。
植生は、日本とそうかわらないか?特に異質なモノには今の所気づかない程度。
小鳥のさえずりは聞こえる。猛獣の声は聞こえない。人の声も、、、クラスの奴らがうるさいんでわからん、、、
つか、、、生まれ変わりじゃないんだ?
転生って、赤子から始めるとかおもっとったわ
さて、俺は離れるか、、、他の奴らが混乱しているうちに、何気に木の陰に入り、離れていく。
数百メートルも離れたろうか?木々に隠れて、もう皆の姿は全く見えない。声もほとんど聞こえない。
俺は森のはしを木々に隠れるようにして、周囲に注意しながら、皆から離れ続けた。
2−3時間はたったろうか?腕時計をする習慣はないし、スマホも教諭に預けたままだった。
小川を見つけた。水は澄んでいる。匂いをかぐ、変な匂いはない。口に含む、特に異常を感じない。そのまま少し飲んで見る、、、で、となりで顔をつっこんでごくごく水を飲んでいる山田くんは誰かーなー!!
「なにやってるんだっつ!!!」
「?水飲んでるんだ?」
なぜ疑問形?!!
はぁーーーっ、、、
「まぁ、、こういうやつだよなぁ、おまえ、、、」
「いやぁ照れるなぁ、、、」
「褒めてねぇ!!」
「おまえひとり・・」
すっと出てきた数人がおもむろに川に顔突っ込んで・・・
はぁ、、、
「いや、お前が一人抜け出すなんて、あの神だかなんだかの説明のときにすぐ思いつくじゃん?つか、あの説明のときすぐに”神山っ!!”って思うじゃん?」
他の3人も顔を水びたしのまま、うんうん頷いている、、、
「まぁ、深刻ぶらずに、本当に必要な事以外はのんびりかまえて、楽しんでいこうぜ?余生なんだから、な?」
「深刻ぶらねーよっ」確かに”余生”だよなー
「いや、おまえいつも余計なことばかりしたり考えたりして悩んだりしてるじゃん、そのままならこの世界じゃ長生きできないぞ?」
「この世界じゃ、って、おまえも来たばかりだろーが」
「わかるんだお?」
疑問形っ!!
「そうそう、神山くんは責任感ありすぎっていうか、放置するほうが良い場合も余計なこと考えちゃうんだよねー。なにげを装って介入するんだけど、ミエミエなのw」
「みててはらはらするよな?」
こいつら、、、
「こいつは個人的に能力ありすぎ、かつ、その能力ありすぎ故に責任を感じ、人より多くなにかをしなけりゃ、とか思い込んでるんだよなー」
「「「それ!!」」」
こいつら、、、
「だからクズ山達と離れることは絶対条件だったんだよね」
「「「それ!!」」」
相槌しかしなかったおとなしそうな小さめの女の子が小田。
山田と一緒になって俺をこき下ろした中背の女子が沖田。
もう一人の男子が神田。田んぼ4人衆だ。めんどくさいからじゃないぞ?誰が?
皆デブっていない、痩せてもいない。成績は中間。特別に目立つことなく、寡黙でもない。
実力出せばこいつら成績でも運動や特技などでも学校で上位を占めるだろう、が、妬み僻みやら面倒くさいんで、「溶け込む」ことに特化させている、自分を。
そういったことがわかる者たちだから、類友で自然に集まり友人付き合いができている。俺?好きな科目は上位、教師が嫌いだったり科目が苦手なものはやらないので尻の方、勿論だめな科目じゃ授業中もだんまり。総合的に中間?人付き合いも同様。そんなんで偽装なくして全方向総合で中間維持、ってのが田んぼ衆に一目置かれてる所。
「まぁ、偽装をとっぱらったお前らと一緒なら、心強いっちゃー強けどなー」
「「「「うっしっつ!!!」」」」ガッツポーズかい、、
「日が3時くらいまでに落ちたら、寝床を探すか。夜の行動は控えよう、猛獣つか魔獣とか言ってた気がするからな危険は避けよう」
皆頷いた。
で、なーぜーか?ライターを持っていたやまだくうーん?なぜかなぁ?僕達高校生だよね?元、だけどw
「いやタバコ吸わないよ?けど、ほら、いざつーときさ、必要だろ?今みたいなときとか、結ばれたロープや紐を切るときとかさ、一応灯りにもなるし、、」
ほうほう、誘拐まで想定、、、でもまぁ助かりました。
焚き火を起こして野宿。あまり虫がいないのが助かる。
あれから水も木の実等も見つからない。半日だからまだ見えるほどの消耗はないが、明日昼くらいまでには再度水をみつけたい。できれば木の実や魚など食い物を。