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姫様への手紙  作者: まみむ
6/7

手紙は姫様へ

姫様と騎士の手紙

手紙は無事に姫様の手に渡ることができた


ふたりの配達人は、約束を守った


騎士団長の願い通りに――





姫様は手紙を検める


――さて、かのひとが

 己の部下や侍女にさえ

 他見をはばかる事情とはなんでしょう



1枚目の手紙は、王や姫様が予想していた通り


ーーー


少しの暇をもらい任から外れること


またそれを伝えずにいたことを心から詫びること


申し開きができる立場ではないが、

事情があってのこと、どうかご諒恕賜りたい


ーー


との旨を流麗な書体で記してあった



姫様は騎士団長の文筆を

以前にも目にしたことがある


流れるような運筆が記憶に刻まれている



この詩情を漂わせる文体はロドアス特有のもの

無為に記していても、言い回しに独特の節が表れる


騎士団長の悪癖と腐す者もいたが、

此度の書簡には適していたようだ


――私に黙って行ってしまうほどの事情

 他言をはばかるような事情

 お父様に直に希求するような・・・

 危急の生家の事情かしら

  

と、姫様は沈思する。


ーー


姫様に置かれましては、どうかご自愛ください


ーー


1枚目の手紙はこう締め括られていた


――詳しいその事情はわからないわね

 でも、手紙は1枚目で書き上げられているように見えるけれど・・・

 

そう思いつつ、姫様は2枚目を開く。


ロドアスからの真なる言伝はここからであった


その言伝は姫様には予期せぬこと


このときまでは、ひた隠しにされていた

如何なる理由があろうが、姫様だけは、と。



長い年月を経て、明かされてゆく


ーー


これから記すことは私の私情によること。


私の勝手な願いが、

どうか姫様のもとまで届くことを祈っています。


兵舎にある私の寝所に言付けを残しました。


在りし日のこと、

私が勇者と共に遠征旅団にあった日々を、

そして、終わりの日までを。

全てを書き付けていた手記があります。


私の短慮な了見が、駄文で記されていますが

それは確かな、今も変わることない

私の真情です。


あの日、勇者にあった全てがそこにあるのです。


誰にも明かさず、やがて消えゆくはずであった真実が。



その手記が、姫様に渡りますよう。

ことは、全て、私の惰弱で、臆病な精神に依ること。


最後に、この手紙は焼き捨てて頂きたくお願い申し上げます


ーー


終始、

幾重にも謝辞が連ねられていた




次は、姫様が手記を探しに

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