侍女の尽力により姫様は
姫様の朝餉の時間
侍女の尽力により、姫様は朝餉の時に間に合った。
「家族の朝食」という市井の慣習、しかしことは王族、如何にして集うか理由がある
現王、王妃そして姫様の朝餉は何事もなく、穏やかに始まった。
そして、食事が一段落つくと、現王が口火を切る。
口調は穏やかだが、顔には物憂いがある。
「シャルロットよ、お前に伝えることがある。今日、集めたのはそのためだ」
シャルロット、とは姫様のこと。
姫様は落ち着き払った様子で、王の言葉を待つ。
王は一呼吸置き、続ける。
「お前に付いている近衛騎士のロドアス卿を、一時、任から解いた。ーーそれ故に代わりの者を置く」
姫様は大層驚いたご様子。
どうにか落ち着きを取り戻そうとしつつ、言葉を紡ぐ。
「また、それは、突然ですね、ーーええほんとうに。職を解くとはまた。
理由を、 お尋ねしてもよろしい、のでしょうか」
王妃が、落ち着きなさいと、姫様へ。
「シャルロット、
陛下はロドアス卿の職を解いてはいません。
ただ一時、暇を出す。少しの間、休暇を与えられたのですよ」
王は王妃の言葉に首肯し、続ける。
「ああ、加えてこれはロドアス卿からの願い出でもある。諸都合により、当人からも他言は戒めていた。お前に伝えぬとて本意ではないことだ。
ーーまた、長い暇にはしないと、申していた」
最後は姫様を気遣って出た言葉であろう。
王妃さえ、一月ほどで戻るでしょうと、助け舟を出す。
その甲斐あって、始めは呆然としていた姫様も、生色を取り戻していた。
落ち着いた姫様は、泰然と応える。
「まあ、私にさえ伝えずにいたのは驚きましたが、理由があるのならば仕方ありませんね」
王も妃も安堵した。
ーーまた、姫様が塞ぎ込んでしまわないかと危惧していたのだ。
最後に王は言う
「ロドアス卿は手紙を残すと申していた。後程読むように。
大方、そこに詫び言を残しているとみるがな」
次はまた姫様と侍女
手紙は姫様に届く