side勇者~城での日々~
二部構成くらいにしようかと思っています。
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~美河視点~
部屋に案内された後、僕らは食堂で夕食を取った。
(まだみんな心配そうにしている。僕がみんなをまとめないと。)
決意を新たにして、割り当てられた部屋で眠りについた。
次の日からは訓練がはじまった。騎士団長のキースさんが順番に剣術を教えてくれる。
「じゃあ美河からかかってこい。」
「はい!」
(敬語だと距離を感じるから呼び捨てにしてって言ったんだけど、やっぱこっちの方がいいな。)
「せいっ!」
上段から斬り下ろすが、難なく受けられて、斬り返された。模擬戦用の剣だから刃は付いていないがそれでも痛かった。
「大丈夫か?」
「はい。」
差し出された手を握って立ち上がった。
「みんなもやってみよう。案外楽しかったりするかも。」
(こうでも言わないとやる気を出さない人がいるからね。)
「そうだな。」
ボクの言いたい事が分かったのか、キースさんも頷いてくれた。
「よっしゃ、やるぜ。」「次、俺な。俺にやらせて!」「頑張らないとね。(美河君のためにも。)」
みんな、やる気になってくれたみたいだ。僕はこういう時はみんなで団結出来ると信じている。
藤野君だって、僕らのために『自分から』城を出ていったんだから。
(藤野君のためにも頑張らないと。)
それから、訓練したり、本を読んで知識を蓄えたりして、毎日を過ごし、二週間後の事だった。
驚きの話が王様と王女様からあった。
その内容は、
『神託が降り、藤野 弥生が裏切って魔王側についた事が分かった』
というものだった。
「それは本当なんですか?」
「残念ながらそのようです。」
(クソ、あの時確実に殺したと思ったのに。あのことがバレたら、私、美河様に嫌われてしまうかもしれない。)
「あいつ危険そうだったもんな。」
「そういうことしそうだったよな。」
「みんな、やめろよ!きっと藤野君だって騙されているだけなんだ。改心させられるはずだよ。」
「美河は優しいな。美河がそう言うなら俺らも手伝うぜ!」
「私達も!」
「そのためにも、強くならなければいけませんね。明日からダンジョンに行って実戦の経験を積んで下さい。」
「分かりました。みんな、頑張ろう!」
「「「「お~!」」」」
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~その頃の主人公達~
正直な所、ユーキが、付いてきてくれるというのは、嬉しかった。
(ぼっち旅なんて、寂しすぎるからな。)
それに、神獣と戦った後倒れた俺を、二日間も看病してくれていたらしい。だから、ユーキのことは仲間だと思っている。
「ユーキ、ここから一番近い町って?」
「トラズベットだね。冒険者業が盛んな所だよ。」
(ヤヨイ君が頼ってくれるなんて嬉しいな。)
神獣から解放されたときに、力も知識も全て受け継いでいるため、現在の地理もばっちりだ。
(いざという時は、この力でヤヨイ君を助けなきゃね。)
「ユーキは頼りになるな。」
「そんな事ないよ。ヤヨイ君の方が‥‥。
いざって時はボクの事助けてくれるんでしょ?」
「当たり前だろ。」
「ふふっ、ありがとう。ヤヨイ君も冒険者になるの?」
「それも楽しそうだな。でも、まぁやりたいことをやればいいだろ。金なら、ここの魔物のドロップ品を売れば、だいぶ稼げると思うし。」
「ダメだよ!?それがどれだけ貴重な物か。
きっと大騒ぎになっちゃうよ!ヤヨイ君は自重しないと‥‥。」
「あぁ、自重ね自重。分かってるよ。」
「嘘だ~(笑)」
そんな雑談をしながら二人はダンジョンを昇っていった。
傍から見れば完全に新婚旅行の雰囲気であった。