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アナザー、六瀬 鳴実という女。

次の話のとある部分が全然思いつかないので、番外(?)始まります。

 私、六瀬 鳴実は、異世界転生者である。記憶が正しいのならそれで間違いはないはずだ。




「金!金だ!金を出せ!そうすれば命は助けてやる!」


 男はえらく興奮した様子で言った。


「彼がそうね・・・まさか本当だったなんて。」


「おい!ごちゃごちゃ言ってないで早く金を出せ!」


 急かしてくる、どうせあなたの命は短いのだしもっとゆっくりしてもいいのでは?と思う。

 もちろん彼が知るよしなどないのだが、


「オイ!はやくしろっていってんだろ!」


 その男は、震えた手でナイフをしっかり握りながらこちらに向かって走ってきた。


「単調な動き。これなら楽に終わりそうね」


 彼の持っているナイフをあのときに習った方法で奪い取った。そしてナイフをとられてその場に倒れた彼の背中に一刺し。


 グサリ


 肉をえぐる感触、そのナイフは背中の骨をうまくよけ心臓を突き刺した。

 そしてまもなく彼は絶命した。



 その男を殺し、役目を果たした私は組織の命令通りに、後処理は任せその場で即帰宅をした。

 その帰り道のことである。


「夜分遅くにすみませんねぇ、ここ、ここに行きたいんですよ」


 と一人の男が地図を持って尋ねてきた。真っ白な肌、それと対照的な真っ黒なスーツ、明らかに怪しかった。私はその男に警戒しつつ道を教えそそくさとその場を離れた。もうあいつには出会いたくない。

 あいつに出くわさないために地図で教えた場所から遠い道、人通りの多い道を通り、それ以外何事もなく帰宅した。

 いったい、あいつは何だったんだ。そんな疑問を残しつつ夕食の支度を始めた。


(人を殺めたのはいつぶりだろうか)


 今日、組織の命令で殺した彼の事だ。


 肆 透。


 あの男は何の特徴もないただの男だった。


 私は基本的には非常勤だった。

 呼ばれたときにしか会社に出向かない。

 その事件が起きたとき私は会社にはいなかった。

 上からの命令で海外へ出向いていた。

 ルルイエという都市の情報を集めていた。

 数日で得た情報は、ルルイエという都市は存在しない、


 “今は”


 これは果たして情報として役に立つ代物なのか私には判断できなかったが、ひとまず情報の伝達をするために日本へ帰った。


 日本へ帰ったその日。情報を伝えるために会社に行った。

 会社は一見いつもどおりだったがあきらかにおかしい雰囲気をまとった人物が多く出入りをしていた。

 その人物に気がついているものは私以外にはいなかったであろう。

 今思い返してみれば、今日であった黒スーツの男は雰囲気が似ていた気がする

 。少し不思議に思いつつも私は会社の定位置、エレベーターで地下室に向かう。


「おぉ、やっと帰ってきたか。ルルイエという都市の件はどうなったんだ?」


 この研究を率先して携わっている彼、少しだけ魚のような印象を受ける顔をしている彼は、魚崎うおさき もぐる


「えぇ、そうね魚崎さん。ルルイエの件よね、あの都市は存在しないということだけはわかったわ。」


「そうか、それ以外の情報はなかったのか?たとえばその都市の御伽噺とか」


 ・・・なぜ彼が例として御伽噺を出してきたかがわからない。

 もしかして彼は少なからず知っている?

 私が調べても出てこなかったその都市の事を。怖かった。

 自分の知らないところでおころうとしていることが、だから私は少しだけぼかした。

 きっと彼には通用しないのだけれども


「そうね、とくにはなかったわ。それより魚崎さん、あなたはどこからその都市のことを知ったの?」


 相手を探るように尋ねてみた。

 下手をしたら私の身が危なくなる質問だろうと思った。


「ルルイエをどこで知ったか、か・・・、社長だよ。この会社の社長。」


 社長、彼はそういった。その社長とやらがとても怪しい。

 よくよく考えれば数年だが勤めている私は社長の姿を見たことがなかった。

 私はこの企業について少し調べることにした。


「・・・なにもでてこない。会社の名前を検索しても情報工作がされているように一切情報が出てこないわ、そんなにこの会社は小さくないはず」


 インターネット掲示板でたずねていてもこの会社について知っているものはいなかった。


 そんな時ふと携帯がなった。

 電話だしかも不在着信。

 私はどうせ迷惑電話とかだろうと思い無視をした。

 しばらくすると着信音は消えた。

 すると消えてから数秒もたたないうちにまた着信だ。

 さすがに知り合いなのでは?と思い電話に出た。



「あ、こんばんは鳴実さん。社長です。あなたの勤めるアノゼアの」



 不思議に思った。いくら会社に勤めているとはいえ、いきなり社長から直接電話などかかってくるわけがない。

 魚崎さんが話したのか?ただただ謎だった。

 きっと今は考えても何も解決しない。

 あきらめて電話に応答をした。



「えぇ、社長・・・ですか、こんばんは初めまして六瀬です。いきなりのお電話で驚きました。ところで何の用件ですか?」



「はい、鳴実さん。あなたに電話をした用件、それはとある人間の始末をお願いしたいのです。」



 !!?訳がわからないどんな話がどう転べばそんな話になるのか。



「始末・・・ですか。そんな話を私のような一般人にしても良いものなのでしょうか?」



 知っているはずもない。私の素性についてはすべて偽装をしてあるはずだ。



「ふふふっ、一般人ですか、面白い冗談ですね。元指定暴力団組長の孫娘サマ。」



 !!?またも驚愕。

 なぜこの男が私が父と最大限まで使えるものを使い今の今まで隠し通して来たことを知っている?やはりこの男怪しい。

 絶対に



「驚きました。どこでその情報を知り得たのかはわかりませんが・・・えぇ確かにそうです私は元指定暴力団組長の孫娘です。」



「ふふふっ、ブラフだったんですがね。」



 絶対に嘘である。

 そんなとっさに出てくる言葉ではない。



「そうですね、あなた私の会社に大分不信感を持っているようですし、今から指定する男の始末をして会社まで連絡に来てくれれば、口止め料を含めた退職金をお渡しします。転職先も希望するなら配慮をしてあげましょう。」



 携帯の着信が鳴った。

 またも差出人は不明。

 メールには一つの添付ファイル。

 一人の男の写真。文面にはその男の名前、住所、そしてなぜかこの先の行動が書いてあった。



「社長。なぜこの先のこの男の行動が書いてあるんですか?本当にこの通りに動くんですか?」



「安心してください。その先の行動は確実にそういくとは限りませんが確実にその周囲にはいるはずです。そうですねぇ、あなたは周りにばれにくいように大学生あたりのような少しラフな格好で行ってみてはどうですか?」



「わかりました。ではこの“明日の行動”に沿って実行をしてみます。確実に処理できたときは・・・おねがいしますね」



「えぇ、もちろん。」



 社長と名乗る男からの電話はそこで終わった。

 そして今日、その依頼を実行した。


 というわけだ。

 私は始末を終えたので連絡をしに会社へ向かう。

 会社につくとあの騒がしさはなかった。

 怪しい人物の出入りもなくなっていた。

 魚崎さんは私をエントランスで待っていた。


「社長からある程度話は聞いたよ、といっても君に何か依頼したから終了した旨の連絡を受けて欲しいと聞いてね。で、終わったのかい?」


「えぇ、終わったわ。私はこれで、ちゃんと社長にも退職金の件伝えておいて。」


「なんだい?君、退職をするのかい。あぁ、わかったよ、社長に伝えておく。」


 退職すること自体は聞いていなかったようだ。


「あぁ、そうだ忘れるところだったよ、社長から君宛に荷物があるよ。」


 魚崎さんはそう言うと一つの小さな箱を渡してきた。


「?なんなのかしらこれ・・・まぁいいわありがとう魚崎さん、今までありがとうございました。」


 私はそう言い深々と礼をした。そしてその場から逃げるように帰宅路についた。




トットットットッ


 私は一刻も早く家に帰りたかった。そのために一番近い道を使った。


「おや、奇遇ですね。先ほどはありがとうございました。」


 しまった。この男に会わないためにさっきは遠回りをしたのに。


「え、えぇ。ちゃんと目的の場所には行けたかしら?」


「大丈夫ですよ、ちゃんと間に合いました。」


「ありがとう。私は急いでいるのでこれで」


「おや、急ぎのようでしたかお止めしてすみませんでした。」


 男はやけににやにやしながら私とは反対の方向へ歩いて行った。

 私もいち早く帰ろうと走った。

 ふと後ろを見てみた。脇道にでも入ったのか男の姿はすでになかった。一瞬、黒いもやが見えたような気がした。



 今日はいつもより特に疲れた感覚がした。

 私には家に帰ってすぐ入浴をする癖がある。

 腰骨のあたりに見たことのない絵が描いてあった。

 星の形の中に舌を出している口がある。

 こんなもの、いったいいつ?わからなかった。

 そしてそれはいくら洗ってもとれなかった。

 明らかにおかしいことはわかっている。

 だが、私一人にはどうすることもできなかった。

 入浴を終え、今度は社長、いやすでにあの会社は辞めたのだ。

 あの男から魚崎さん伝いに渡されたちいさな箱を見てみた。

 その中に入っていたのは小さな宝石。

 宝石とは言ってもカットされ、加工済みの宝石ではなかった。


「赤い宝石・・・なんでこれを渡したのだろう・・・」


 その宝石を眺めているとその宝石にしか目が向けられなくなるような感覚。

 私はとっさの判断で宝石を部屋の隅に投げてしまった。


パキャッ


 すごくもろい宝石だったのか、壁に当たると砕けてしまった。

 砕けた宝石に先ほどまでの赤い色はなかった。

 私は砕けた宝石を集めて箱の中へ戻した。

 もうこれは捨てるしかないな・・・

 その後はいつもの日常、自分で夕食を作り就寝をした。




 とても寝苦しい感じがした。


 息がしにくい。体がうまく動かない。首を絞められているような感覚。


 精一杯の力を出して目を開けた。そこには誰もいない。


 苦しい。息がしにくい、いや息ができない。

 体の力が抜けていく。血が外に流れているわけでもない。


 もはや意識を保つのでさえも精一杯。

 最後に私は今日殺した男のことを思い出した。

 一見何の変哲もない男。

 何もなさ過ぎて逆に怪しく思えてくる。

 意識が途切れた。






 私は死んだのだ。今この瞬間、何が起きたのかわからないまま・・・






 意識が覚醒する。

 死んだはずなのに、ここが死後の世界というやつなのだろうか。

 指先が動く。

 目を開いてみる。

 私は、西洋風の屋敷のベッドで寝かされていた。

 そしてそこ横にはいすに腰掛ける一人の男。






気がついたら割と書いてた

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