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追体験双六

「その、つ…“追体験双六”ってのはなんです…か?」


「すみませぇんね。説明をしないといけませぇんね。追体験双六、それは文字通り双六のマスを追体験して進んでいく双六です。賭様は、虚様の。虚様は、賭様の人生を再現した双六をしてもらいます。生まれてからこれから死んでいく未来の出来事まで、ですが未来に関してはこの世界に来てしまわなかった場合のものです。そして、この双六では、マス目によって得られる金額、失う金額が決まっていません。貴方方が行動しそれで得た金額が追加されます。」


面白そうだと思ってしまった。

虚が今までどんな人生を歩んできたのか、それを自ら持って体験できる。

だが、そそのゲームに隠された真意はわからない。

それに・・・虚は、俺の人生を体験する・・・。

俺がどんな人生を歩んできたのか、どんな不幸が降りかかったのか。

虚は、そのすべてをその身で受け止めなければいけない。

わからない、俺の人生を体験してどうなってしまうかが。

ん?待てよ。

ちょっと何かがおかしい。

何か違和感が・・・


「あ、あの・・・。どうして“この世界に来てしまった”ってことが・・・わかるんで・・・すか?」


あ、そうだ。

それだ、そこがおかしいと思っていた。


「もしかして、俺たちがここに来た元凶は、おまえなのか?」


そんな少ない情報だけで判断するのはだめだ。

それに、なんとなくこいつは“アイツら”とは違う。

そんな気がする。

まぁ、俺の勘はいつも当てが外れて悪いほうへ向いていたから、まったくの見当違いの可能性が高い。

そう思って、自分の勘の裏を欠いてそう問い詰めた。


「あんしんしてぇください。貴方たちは明らかにこの世界とは違う雰囲気がしてぇますから。だからわかったんですぅよ。カジノの経営をしてるとでぇすね。よくよからぬことを勘がえてぇる人がいましてね、そんなのを何百年と見ていたらいやでもわかぁりますよ。さあ、それよりはやく双六やりまぁしょうよ。」


そういって、二つの六面ダイスを渡してきた。


「二人同時にダイスを転がして、同時に進んでぇください。さぁ、早く。」


最後の言葉だけに、異常な圧力があった。

それに押されるままにダイスを転がした。


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