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運は、お金で買えてしまう。

「ここがぁVIPルームです。」


通された部屋は、さっきまでとはテイストの違う部屋だった。


「君達にはぁ、なじみがあるんじゃないかな?」


和室だった。


「和室なんて洒落てんじゃん。で、ゲームって何をするのかな?」


「このカジノという場所からぁは以外もいがぁい、双六だよ。」


「「双六ゥゥゥゥッ!!?」」


思わず虚と顔を見合わせた。

ハッとした表情で、顔を赤らめていた。


「双六、双六ねぇ・・・久々だね、虚君もやるよね?」


「そ・・・そうだね。や、やるよ、僕も」


俺と虚二人の参加が決定したところでルメスがほほえみながら近づいてきた。


「では、お二人、手を出してください。」


言われるがまま、手を出す。

何でわざわざ手なんか出すんだ、とも思ったがここはいわゆる異世界だ。

別の場所に転送とかされるんじゃないか?

会場とかに。

と思っていたら、


「はい、もう良ぃですよ。では、賭様の所持金は、借金5000万円スタートです。対して

、虚様は、所持金2000万円からスタートです。」


「は、はぁっ!?なんで5000万も借金負ってスタートするんだよ!」


「お答ぁえしましょう。私の能力、富は幸福ウェルシーズハッピー。相手の運をお金に、お金を運に返還する力です。つまり、賭様の運はないです。寧ろぉ、不運。心当たり・・・あるんじゃないですぅか?」


「・・・。」


ある。

ここに、この世界に来るまで不運しかなかった。

俺がいなければ勝てていた賭け事で両親は大負けし、俺は両親と離れてしまった。

その時にもらったのがこのペンダント。

それに他の話をするなら、外を歩けば、職務質問をされ、あらぬ疑いで連行される。

すべて、両親が勝ってきた金で解決されていた。

ある意味、俺からしたら両親に迷惑を掛けてしまって不運だと感じるし、こんなことばかり起きるのも不運だ。

この世界に来てしまったことすら不運だとさえ思う。


「あぁ、あるさ。心当たりどころか全部だ。俺の人生ここに来るまでずっと不運しかなかった。」


「それでぇす。貴方のチカラは言ってしまえば幸運。だが、本人は不運。そのチカラは完全に不運な貴方にしか使えない。対して、虚様は平凡・・・さて、なぜあそこまで幸運だったんでしょうか。ふふっ」


何か隠してそうな顔で笑った。


「ふふっ、ふひっ」


「虚君、どうした急に笑って。」


「え、僕・・・わ、笑ってました・・・か?」


「お、おぅわらってたぞ」


不意に笑った虚を見てルメスは、声に出して笑い始めた。


「はははっ、さぁ始めましょう。ゲームは、追体験双六。ルールはひとつ、“相手への干渉”はなしです!」

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