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力の使い方。


「犬牙君は、さっき会ったね。そこの二人は初対面だね。」


死後何年もたってから生き返ったと言われているこの男。

ネットでは、世界有数の企業の元会長で一時失踪後再び就任したと言うことから信憑性が高い物として扱われている。

そして、今確信した。

それは紛れもない真実。


「ところで、男の子の方が透君で合ってるかな?」


「あってますよ、で、何のようですか?」


「君には言ってもらいたい場所がある。」


「ちょっと待ってください、俺これからファトスっていう人の所に行かないといけなくて・・・」


俺とアトルの為にいち早く能力制御の物を作ってもらわないと行けないのだ。


「安心して良い、時間はとらせない。主観では長く感じるだろうが実際はほんの数分だ。健闘を祈るよ。」


なんか俺が行くことがすでに決定されているような気がする。

それに、健闘を祈ると言う言葉。なんだか、少し引っかかる。


「おい、待てよまだ行くなんて一言も」


そこまで言うと、足下の地面が抜けた。

まるでいきなり足下に大きな穴ができたように・・・

下を見たら確かに穴が開いていた。




その穴を落下し続けて数秒で穴の底に着いたようだ。

落下してきた天井を見上げると、まるで穴など無かったかのように真っ暗だった。

ここがどこだか分からず、周りを見渡してみるが何も見えない。

辺り一帯真っ暗だ。

足を踏みしめてみると確かに地面がある。

手を伸ばしてみても壁はない。

大きな声で叫んでみた。

狭い空間ならば少しなりとも反響するはずだ。

結果は、反響などしなかった。

声は一直線に進むばかりで返ってなど来なかった。

自分の声は、だ。

返ってきたのは、自分以外の声。


「うるせぇな!こちとら解放されて寝てたのによぉ!」


その声の先には、一人の女性がいた。

その女性は、ブラフだった。

だが、様子がおかしい。

普段なら銀髪に紫の目をしているのだが、今目の前に居るブラフは、銀髪なのは変わらないが目が金色に染まっていた。


「って、なんだよ。やっときたのかよ透。」


いつもとは違う口調でそう言った。


「おい、ブラフ。これは何の冗談だ?早く帰ろうぜ?」


「あ?知識の奴から聞かされてねぇのかよ。ならまずは自己紹介だな。アタイは馬鹿力、コロープストレングスだ。聞いたことあんだろ?」


その女は、ブラフからもらった能力の名前を語った。


「こんらんしてんのか、いいぜ説明してやろうじゃねぇか。ここは精神世界、真っ暗なのは消したから。そしてお前にはアタイの使い方を知ってもらおうって訳だ。」


「じゃあ、ブラフの奴も来たのか?」


「いや、あれはタダの馬鹿だ。そのくせ精神力でねじ伏せやがったからなここには来てねぇし、たぶんアタイにも気がついてなかったと思うぜ。」


「まさか、お前の名前ってそんな馬鹿な主人の力だから馬鹿力とか言わねぇよな?」


「すげぇな、当たってんぜ。」


まじか・・・

ネーミングセンスのかけらもないじゃないか。


「でだ、そんな話は置いておいてだ。透、お前は“神の力”と対峙してるって事が分かるか?」


神の力とは何なのだろう。

まさか、コイツのことか?


「それってまさかお前じゃないよな?」


「いや、アタイだ。ほんとに何もしらねぇんだな、こりゃ時間がかかりそうだな。じゃあ、神という物は人物じゃねぇ、能力だって事を覚えてろ。そんで、おまえは制御できてねぇ,

どうせアダマンタイト使うってんなら制御装置じゃねぇ、武器にしろそのための今からだ。」


初めから制御はアダマンタイトじゃないとできないとばかり思っていたが、今からの訓練次第では、どうとでもなると。

意識して右手ばかり使っていたがようやく解放されるって訳だ。


「わかった。お前の使い方教えてくれ。後ついでにブラフの中の話も」


「その積極性、嫌いじゃないぜ。訓練の前に一つ裏話をしてやろう。」


「裏話?」


「そう、裏話。お前の中に押し込まれたときの裏話だ。知っての通り、あいつは押しつけるような形でアタイを透の中へ押し込んだ。その理由はな、あいつが創造神になったからだ。」


神は能力だと言っていた。

つまりは、


「あいつに新しく能力が生まれたってことか?」


「ビンゴ!だからアタイの居場所が狭くなってそれで暴れてやったら“この力は大きすぎる”だってよ。大きいのは、創造の方だよ。それでお前を見つけて押し込みやがった。だからそれにイラついて魔法制御をちょっと壊してやった。だからあいつは今使える魔法は極端に少ねぇ。」


ひどいことするなぁ。


「ブラフがちょっとかわいそうだったから治してやってくれよ・・・」


「別に治すことはできるけどよ、やってやるかどうかはお前の成果次第でどうだ?」


俄然やる気が出てきた。

それさえ戻れば、最初の胸の時のこともだがアトルの負担が軽くなる。


「分かった、精一杯やるよ。」


「じゃ、始めっか。」


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