ディファレント、魔王城跡国立図書館-犬牙&鳴実 3
ディファレントはこれで終わり
「ところであのクソ坊主が何か言ったのか?」
「あぁ!透が捕まっちまったんだよォ!それで“我が神を呼んでこい”とか言いやがる」
それを聞いて、深くため息をつくラフ。
「あいつは・・・また早とちりしたな?久々にやるしかないか・・・」
髪をまとめ上げてポニーテールにし、ひもを使って着物の袖をまとめた。
着物の姿しか見たことがなくて知らなかったが、白くて細くてしなやかな腕だった。
「おい、見とれてないで、早く行くぞ?」
ラフに少し見とれて動きが止まっていたが、ラフの一言で我に返る。
自分にはこういう趣味があったのかと、新たな発見をしてしまった。
そんな俺を置いてずかずか進むラフの後ろを駆け足で追いかける。
長い長い行列がある中で朱文とともに入ってきたのと同じ扉から施設に入る。
それと同時に白衣を着た桃色の髪をした女性も同じ扉から入ってきた。
その女性はピオス・アクレー。
透を診ているはずの医療の神。
「あら、あなたが来たって事は何かやらかしたって事かしら?」
「久しいな、ピオス。あいつまたやりやがってなぁ・・・早とちりもいい加減にしてほしいものだよ・・・」
「そうよねぇ、ってことはあの男の子はそれかしら・・・。」
そういって蛇が巻き付いたようなデザインの杖で俺の額をつついた。
すると、嘘みたいにすべて消えた。
「疲れてる顔してたからね、今回はタダ。」
「すげぇ・・・っておい!それよりも館長室に早く向かうぞ!」
「あら、忙しいわね。私もそっちに行くから。」
「そうか。だったら壊してかまわんよな?」
そう言って、ラフは壁をすべて殴り壊して進み、壊した壁をピオスが直すという超最短ルートで館長室へ向かった。
ドゴォ!!
何枚目か分からないくらいの壁を破壊しては直し続けやっとのことで到着した。
「おぉ、我が神よ!ようこそいらっしゃいまし」
部屋に入るなりそう言ってきたフェルガーノの顔面をラフが全力で殴った。
体は宙を舞い、頭は消し飛んだ。
「ダメじゃない、殺っちゃったら仕事が増えるじゃない。」
ピオスは、死体に近づいて杖をぶすりと首の断面に差し込んだ。
そして、杖を抜くとフェルガーノは何事もなかったかのように転がっていた。
「おい、フェル。透はどこだ?ぶち殺すぞ?」
明らかに怒っている声でそう言った。
それに対して、全く臆することなく
「待ってください、あの男はなぜ貴方の力を持っているのですか?」
はぁ・・・っとラフがため息をつく。
「そんなの、透をここに連れてきてからだ!さっさとしろ!」
朱文が
「ピオス様、もう起きているようなら連れてきてもらえますか?多分まだ起きない気がしますけど。」
「まぁ、いいけど・・・ちょっと遠いのよねぇ。」
そう言ってピオスは部屋から出て行った。
鳴実は何がなにやらという風な表情でそんな彼女にジョーカーを返しておいた。
さて、ここまでやったのだ。俺達の仕事は透を待つことだけ。
透が帰ってきたのは30分後。
それまでずっとフェルガーノとラフの話し合いを聞いていた。




