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ディファレント、魔王城跡国立図書館-犬牙&鳴実

いない。

確かにそこに血だまりがあるのに・・・

臭いは?

ダメだ、血の鉄臭さが邪魔をする。


「クソッ透はどこだァ!!」


ここまで来たのに透の居場所が分からなくなって苛立っている。

思わず壁を思い切り蹴った。

ドゴォ!

蹴った位置に穴が開いた。


「あっ、そこにいましたか、犬牙さん、鳴実さん。あ!ちょっと壁に穴開けちゃダメじゃ無いですか。」


どうやら俺が蹴った音で俺たちの所へ来たらしい。


「おい!透はどこにいるッ!!」


思わず胸ぐらをつかみ壁伝いに持ち上げた。


「いやだなぁ、やめてくださいよ。透さんとは確実に会えるはずですから。」


会えるはず。

はず、と言った。

コイツは透が今どうなっているかはよく分かっていない?

そして、言動から考えるに館長、とやらが関わっているとみて間違いない。


「会えるはずっていうのはどういうことだァ!!?透はどこにいるって聞いてんだァ!!」


「落ち着いてくださいよ、そんな調子じゃ会う姿は死んだ後って事になるかもしれませんよ?」


相変わらずのへらへらした表情でそう言った。


「フェルガーノさんが呼んでいます。僕を下ろしてください。」


そのフェルガーノという人物が館長とやらなのだろう。

仕方が無く手を離して下ろした。


「それでいいです。多分ですが透さんがどうなるかは皆さん次第ですよ。」


今度は真剣な表情でそう言った。


「あの人は普段は優しいんですが思い込みが激しくてやむをえなくって所です。さぁ、こっちです。」


俺たちを引き連れて木製両開きであろう扉の前まで来た。

コンッコンッコンッ

朱文が3回扉をノックした。


「フェルガーノさん、連れてきました。」


つい少し前までは興奮していて今はやっと落ち着きを取り戻しかけている。

そんな臭いがする。

朱文からもしたのだが、このフェルガーノと言う男からも透の血の臭いがする。

あの血だまりが透のモノなら間違いない。

透を襲ったのはこの二人で間違いない。

確信した、こいつを敵に回すのは得策じゃ無い。


「早速だがよぉ、透はどこだァ?」


でもいちはやく透の安否だけは知りたい。


「あの男か、今はピオスが診ているから安心して良い。」


ピオス。

ピオス・アクレー

俺は直接会ったことは無いがイティスから噂だけは聞いたことがある。

この世界における医療の第一人者。

世界一の再生の能力者。

ラフ、イティスとともに並ぶ前世界からの神の一人。

そんな奴がいるとなれば、ほぼ透の身の安全は保証されたと考えて良いだろう。


「だが、君たち次第では私が直々に手を下す。」


「てめェ!!」


思わず拳を握りしめ振りかざそうとした。

その手を止めるように俺の方を鳴実がつかんだ。


「犬牙、落ち着いて。」


朱文は本を片手に持っていてもう片手に持つククリナイフを俺の首筋に当てていた。


「落ち着いてください。それは得策じゃ無いですよ。」


何が得策じゃ無い、だ。

人の首にそんなに大きい刃物を当てておいてよくそんなことが言える。

さっき敵に回すのは得策じゃ無いと考えたばかりだった。

二人のおかげで頭が冷えた。


「すまねェ。でだ、俺たち次第ってのはどういうことだ?何をすれば良い?」


俺たちに課せられた命令次第で透の生死が決まる。

たとえ俺の命がなくなっても透だけは生かしてやりたい。

どんな命令でも俺は果たしてやる。

そういうつもりだった。

フェルガーノが指し示した命令は、


「我が神、ブラフマー様を50分以内に呼んできて欲しい。ただ、それだけだ。」


ラフをここに連れてくること。

それだけだった。


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