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魔王城跡国立図書館 1

二日目の今日は雲一つ無い快晴だった。

このままメルバゴ鉱山に向かっても良いのだが魔王城跡国立図書館へ行くことにした。


「また、なんで魔王は今消息不明なんだ?」


「一部の噂だとよォ、この国家のどこかで潜んでるらしいぜェ」


「それなら、その魔王って言うのは裏からひっそりと人間を狙っているって事かしら?」


そんなことを話していると、道行くご老人が顔を真っ赤にして俺たちの方へ向かってきた。

俺たちの目の前に止まると一言。


「魔王様はそんな人じゃねえべ!魔王様は世界のために尽くしてくださったんだべ。」


「というと?」


「魔王様は確かに一度世界を征服したべ、それでもその征服したものすべてを返還したんだべ!」


その魔王と呼ばれる人物(?)は世界を一度征服したにもかかわらず世界をすべて返還したらしい。

でも、なぜ?


「なぁ、ご老人よォ、なんでわざわざ返したかってしらねェか?」


「しらんべ、でも国立図書館に行けば何かわかるかもだべ。もう魔王様のことを悪く言うんじゃねぇべ!」


「ごめんなさいね。ちょうど図書館に行ってみる理由ができたことだし行きましょうか?ところで、図書館ってどこなの?」


犬牙そっと指を指す。

その先には建物と建物の隙間から見えるとても大きな城があった。


「おい、まさかアレか?でかくねぇか?」


「え、えぇ、大きいわね・・・こんなサイズ向こうでも見たこと無いわ。」


「あァ、俺も初めて見たときは腰抜かしそうだったぜェ。」


宿屋から約5分ほど歩くとすぐに魔王城もとい、図書館が見えてきた。

人通りもすごく多く、図書館への出入りも激しい。

長蛇の列が続いている。


「この様子じゃ、何分かかるかわかんねぇな。」


「でもおとなしく並ぶしかなさそうよ」


なぜこんなにもこの図書館には人が多いのか、それは犬牙曰く

 なによりもこの図書館がこの世界最大規模の図書館だと言うこと、蔵書数ももちろんおおい。

 しかもこの世界において図書館というものは10件も無いらしい。

それが理由だろう。

そしてなくなくその長蛇の列の最後尾に炎天下の元3人揃って並ぶのであった。


トットットッ


その長蛇の列に並んでいる俺たちの横を駆け足で抜けてく一人の男がいた。

この世界では俺たち以外に見たこと無い、日本人の顔をしている。


「おい、そこの人と待ってくれェ!」


犬牙がその男に叫んだ。

すると、その男は声の出所を探して俺たちが呼んだんだと分かるとこちらに走ってきた。

近くで見たら確かに日本人だった。


「はい、なんでしょう。僕は今忙しいんですが・・・ってえ?日本人・・・?」


「その反応って事は、もしかして君も向こうから来た人?」


「その向こうの世界って言うのが地球であるならそうです。そうですか、こちらに来たのは僕だけじゃ無かったんですか。」


「私たちのしってる中ではあなたで私を含めて4人目よ。」


「そうなんですか、そんなに・・・そうだ!一応僕この図書館の司書をやってるんで中でお話をしましょう。」


是非ともそうして欲しい。

めっちゃ暑いから一刻も早くこの列から抜け出したかった。


「それじゃあ行きましょう。」


そう言うと、列の先頭まで向かい。受付にカードを見せると


「この3人も連れです。よろしくお願いします。」


図書館の中は涼しかった。

これは本目的じゃ無くても涼みに来る人もいるだろうなと思う。

司書を名乗る男は俺たちを連れて会議室のようなところへ向かった。


ガチャッ


扉の先には日本でも会ったような会議室。

流石に机などは木製だったりするが、ホワイトボードをもしたような木製の板などがあった。


「この部屋、すげぇな。」


「はい、この部屋は僕がいただいた部屋です。魔王様から!」


「へェ、この部屋をもらったのか・・・って」


「「「魔王様ッ!!?」」」


おそらく今日一大声を出したであろう。

しかも3人揃ってハモった。

それよりも魔王様ってあの魔王様?

この図書館とかあの宿屋とかを手がけたって言うあの!?


「魔王様って、あなた。まさか・・・」


「えぇ、たぶん皆さんの想像している魔王様です。」


すごくまぶしい笑顔でそう言った。


「あ!魔王様に用事ですか?お呼びしましょうか?」


「いや、確かにそれも気になるが今は君の方が気になるのも確かだ。君の名前を教えてくれるとありがたいんだが・・・」


「別にかまいませんよ?僕の名前は三上みがみ 朱文せきふみといいます、能力者やってます!」


なるほど、この青年の名前は三上君か・・・

なるほど、ってえ!?


「「「能力者!!?」」」


またまた3人揃って叫んだ。

図書館だと言うことも忘れて。

ちなみに三上君は相変わらずニコニコしていた。


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