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3人遠征初日。その夜。

その日の夜。

夜中に目が覚めた。

泊まっていた宿屋が大きく揺れた。

それに驚いて起き上がったのである。

揺れ続けているわけでは無く。

一瞬確かに揺れた。

震度6弱とかって言うかなり大きめだった。

ふとドアが勢いよく開けられる。


「おい!透ゥ!大丈夫かァ?」


勢いよくドアを開けたのは犬牙だった。


「あぁ、一応大丈夫だ。いまのって、地震?か?一瞬だったが」


「やっぱり揺れたのかァ、多分地震じゃないと思うぜェ、でもこっちに来てから地震なんてあった事ねェのによォ。」


こっちの世界に来て数年たつ犬牙でさえ、この世界での地震は体験したことが無かったらしい。


コンコンコン


3回ドアがノックされる。


「ッ!?」


俺と犬牙はそのドアの先に警戒する。

だが、このまま黙っていては何も解決しないと思い。


「どうぞ、あいてますよ。」


と俺が一言告げた。

すると、ドアが開けられる。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


扉を開けたのは食事の時の皿を受け取っていたエルフの女性だった。


「あれ?すみません、もう一人お連れの方居ませんでした?」


あ!わすれてた!


「「鳴実!」」


俺と犬牙は二人で声をそろえて叫んだ。

結果


「静かにしてください!まだ寝てる方も居るんです!」


すみません・・・そうですよね

泊まってるの俺らだけじゃ無いからうるさくしちゃだめだよね。

なんだか修学旅行中の学生みたいな乗りで怒られてしまった。


「鳴実は大丈夫なのかよォ?」


「ちょっと確認してこよう。エルフさん、俺たちは連れの様子見てくるんで業務に戻って良いですよ。」


「そうですか、ではよろしくお願いします。」


そう言うとエルフさんはほほえんで部屋をあとにした。

エルフさんが出て行くのに続いて俺たちは鳴実の部屋に向かった。

その道中エルフさんは他の部屋をノックして安否確認をとっていた。

こんな状況でも大変だな。

そんなことより鳴実だ。


コンコンコン


鳴実の部屋のドアをノックする。

・・・

返事は無い。

ちょっと心配になってきた。

何事も無く寝てるだけならいいのだが、一応ドアをゆっくり開く。


ギィ・・・


部屋の中は真っ暗。

廊下から入る光出入り口付近がかすかに見えるだけ。


「ミン・ルス・ユーブング」


犬牙そう唱えると黄色い魔方陣が現れその魔方陣が光っている。

ちょうど懐中電灯をつけたぐらいの明るさで


「なんだ、犬牙。魔法使えたのか。」


「こんなもん、魔法学習えば直ぐだぜェ。」


まるほど、魔法学というものがあるのかとすればそれが魔法を使うのに必要な知識という事だろう。

その光を頼りに部屋を進む、すると寝息が聞こえてきた。

大丈夫だ。鳴実はちゃんと生きている。

だけど、よくあれだけの揺れがあって寝ていられるな。

その寝息のする方に光を当てると・・・


「寝相が悪りィ・・・これがギャップってやつかァ?」


「ははっ、この事が本人にしれたらキレられそうだな。何も問題がなさそうだし戻るか。」


見た目とは裏腹にすごく寝相が悪かった鳴実。

きっとこの事を鳴実に知られたらぶち殺される。

現世でも殺されてこっちの世界でも殺される事になっちまう。

それは勘弁だ。


「おい、犬牙この事は本人には内緒でよろしく頼む。」


「あァ、わかってる。お前も黙っててな?」


「おぅ、じゃあそういうことでおやすみ。」


そういうと音も立てずに部屋から抜け出して、一応エルフさんにも報告をしてから俺と犬牙は再びベッドで寝た。


2日目

窓から差し込む光で目が覚めた。


「なんだぁ、もう朝か。やっぱりベッドはよく寝れるな。」


コンコンコン


「どうぞー」


入ってきたのは犬牙。

鳴実は居なさそうだ。


「おはよう、犬牙。鳴実は?」


「おはよう、よく寝れたかァ?あと鳴実はまだ部屋にすら行ってねェ。」


昨日が昨日なだけにちょっと行きづらい感がある。

一応、寝てるにしても起きてるにしても呼びに行こう。




コンコンコン


「お~い、鳴実。おきてるか?」


「ん~・・・すぅ・・・」


返事?・・・なのか?

いや多分寝ているおそらく寝ている。


「おい、入るぜェ。」


ガチャ


犬牙が大胆にも部屋に入っていった。

窓にはカーテンがしっかりと張られていた。

こりゃあ起きねぇわ。


「おい、どうすんだ犬牙。鳴実おきねぇぞ。」


「まぁ、ほかっとこうぜェ。それより俺はよォ腹が減った。」


「奇遇だな、俺も腹がちょうど減ったところだ。あとはエルフさんに任せて食堂行くか。」


「だなァ。行くか、そのうち来るだろ」


そして食堂に向かった。

ちなみに鳴実が現れたのはだいたい30分後くらいのことだった。

まだ眼をこすりながら朝食を食べていた。

目を覚ます意味も込めて朝からシャワーを借りてから2日目の遠征に出発した。

にしても本当にこの町広すぎ。


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