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アナザー、あの世界へもう1度

本文にはまだ出てないとある男の話

プルルルル

プルルルル


「電話ですよ、いつもの方からです。」


大きく深く座れる椅子に腰掛けていたのだが専務からそう言われて席を立つ。

にしても、こんな時期なあいつから連絡してくるとは何かあったのだろうか


「わかった。すぐ出るからキャッチにして回してくれ」


「わかりました。」


そういうと専務は部屋を出ていった。

それから数秒で電話が掛かってきた。


ガチャッ


「いつもいつも、専務のお姉さん堅苦しくて苦手なんですよ。何とかなりませんかね?」


「しょうがないじゃないか。それがあいつの仕事なんだから、で、要件の方は?」


そんな専務の話より今重要なのはその要件の方だ。

それ次第では今すぐにでもこの部屋を出て動き出さなければ行けない。


「そうそう、要件の方ですよね。では早速ですが、"奴ら"が動き出しました。つきましては、お願いします。」


奴らのことになるとつい真剣になってしまう。

俺もだが、この電話の主もそうだ。

そうして、伝えることを伝え終わると


「では、また会えることを願っています。」


と一言。

それに胡蝶するように


「あぁそうだな、また会えることを願うよ。」


そう言って電話を切った。

その電話が終わると直ぐにまた受話器を手に取った。

電話の先は我が庶務。


プルルルル


ガチャッ


ウチの専務は会社内からの電話はワンコールで出る。


「はい、なんでしょう。」


「もう時間が無いらしい。もし俺が帰らない時はお前に会社を頼む。」


「仰せのままに。絶対に帰ってきて下さい、願っています。」


「勤務中に私語は厳禁だぞ?」


「ふふ、わかりました。では、会社のことは任せて行ってらっしゃいませ。」


そう言って電話を切ったのは向こうだった。

さて、ここからが本番だ。

現在時刻を確認して、タキシードにネクタイ。

正装で外へ出る。


「インボカシオン・ユーブング」


宙を手で切り現れる青色の魔法陣

それが少し経って消えたかと思うとその場には一つの閑静な扉

その扉のノブを回して一歩踏み出す。

振り返るといつもの事だが扉があった痕跡はない。


「さて、ちょっくら行くか。」


そうして、中年の男性。

零橋(れいばし) 終時(ついじ)は、再びあの地に踏み出す。

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