二日目の朝(10時)
・・・次の日
人の声がする。
まだこっちは眠いのだ。 邪魔をしないで欲しい。
「う~ん・・・あと10分だけぇ・・・」
スパァン!
全力で顔をたたかれた。
何が起きたのかわからないまま目を覚ました。
顔を叩いたのはアトルだった。
完全に自分の寝室で寝てるものだと思っていた。
そうだ、そうだった、昨日死んでこっちに来たんだった・・・
夢だったらどれだけ良かったか、なんて考えていると
「ごめんね!ブラフマー様、じゃなかったねブラフ様が起こせって言うからどうすればいいかわからなくて。」
「いつまでも起きなくてすまんな、でもなんでブラフじゃ無くてわざわざアトルが起こしに来たんだ?」
俺を起こそうとしたのは納得したが、よくわからなかった。
なんでブラフはわざわざアトルに起こさせたんだ?
「だって、ほらブラフ様が同じように顔でも叩いちゃったら透、死んじゃうよ?顔ぐちゃぐちゃになって」
あれ?ブラフって俺に能力を渡したはずだよな・・・
「なぁ、ブラフって確か俺に能力渡してたはずだよな・それなのになんで俺はそんなぐちゃぐちゃになる可能性があったんだ?」
「だってね、ブラフ様は能力とか関係なしに力が強いから!」
アトルは自分のことじゃないのにまるで自分のことのように誇らしげに語っていた。
力こぶをつくようなポーズをしていた。
なるほどアトルは無邪気なんだな。
でも最初のことを考えたら頭はいいらしい。
「あいつ、そんなに力があんのか。どおりでこの能力が手に負えないわけだ。」
完全にキャパシティーオーバーである。
神的にはどうなのかはしらないけど
「おい、おま・・・透ゥ!いま私のことを“アイツ”っていったな?昨日寝る前に私のことはブラフでいいといっただろう!寝ぼけてたがちゃんとおぼえてるからな!」
「あ、ごめん。ブラフだったな。おまえなんていってごめんな」
「お、おぅ、そんなに素直に謝るのか・・・それよりだ!町へ行くんだろ?もう10時になるぞ?」
気にしていなかったが、この世界と現世の時間認識は同じなのか。
それより町だ。
どんな町なんだろうか、やっぱりちょっとわくわくしてる自分がいる。
「おし、じゃあ行くか!といってもどこにあるか知らないんだけど?」
「町は直ぐ近くだぞ?昨日言わなかったか?」
覚えてない。それに周り一帯は森。
耳を澄ませても、聞こえるのは鳥の声。
あ、鳥はいるんだなここ。
「なぁ、直ぐ近くって言ってもそんな気配ないんだけどどこにあんの?」
そう聞くとブラフはアトルに目配せをして
「金ぱ、アトル。いつものお願いする。」
そういうとアトルは指笛をした。
ピュー
とても高い音。音量自体はそんなにないが音が響いた直後、鳥の声がやんだ。
そしてたくさんの鳥が木から飛び立った。
しばしの沈黙。音が鳴ってから数秒後。
そこに現れたのは一人の男だった。




