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童話

いつでもいっしょにいるからね

作者: アンリ

おや


どうしたんだい


かわいそうに


そんなにないて

かおをまっかにさせて

ぽろんぽろんとなみだをこぼして


「もういやだ」

「はたらくのはいやだ」


どうしてそんなことをいうんだい


まいにちまいにち

いっしょうけんめい


あせみずたらして

がんばっているじゃないか


「もうつかれた」


それじゃあすこしやすんでいくといい


「ちょっとだけやすませて」


いいよいいよ


ちょっとといわず

きがすむまでやすめばいい





おや


おきたのかい


「おなかがすいた」


よおくねてたね


そりゃあおなかもすくだろうね


「ああでも」

「もうはたらきたくない」


「あさからばんまではたらいて」

「もうすっかりつかれたよ」


でもひとは

はたらかなければ

たべることはできないんだよ


「たべるためにはたらくのなら」

「わたしは」

「たべるためにいきているの?」


そうなのかな


そうなのかな


「たべることがだいじなことなの?」


たべなくてはいきていけないし

だいじなことなんじゃないかな





「ううんちがう」

「そうじゃない」


「わたしはたべるために」

「いきているんじゃない」


「だからわたしは」

「はたらくためにいきているんじゃない」


「わたしはなんのために」

「いきているのかな」


なぜだろうねえ


「はたらくのはもういやだ」


でもはたらかなければ

たべものをもらえず

しんでしまうよ


「もっとたのしいしごとなら」

「よかったのに」


そうだね


もっとたのしいしごとなら

よかったのにね


ぼくのように


ただつったっていればいい


そんなしごとなら

よかったのにね


「いちにちずっとはたらいて」

「つらいおもいをしてすごして」


「こんなまいにちが」

「しぬまでつづいて」


「それでわたしは」

「なにになれるの」


なににもならないんじゃないかな


なにをしようが

きみがきみであることは


かわらないんじゃないかな


ぼくがぼくであるように


きみはきみでいるのがいやなの?


べつのなにかになりたいの?





ぼくはきみがすきだよ

そのままのきみがすきだよ


つらいときは

いつでもここにくればいい


ぼくはずっとここにいる


このおかにぼくはずっといるよ


ぼくはきみのために


いいかおりのはなをさかせるよ


わさわさとはっぱをゆらしてあげるよ


どんなはなしでもだまってきくよ


だからどうか いきて

きみのために いきて


きみはほんとうにすてきだよ

ぼくはほんとうにきみがすきだよ


いつでもいっしょにいるからね


いつでもはなしをきいてあげるね

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― 新着の感想 ―
[良い点] 童話ですが、これはお父さんが子供に読み聞かせてはいけないと思います。 なぜなら読んでる途中でお父さんが泣いてしまうかもしれないからです(笑)。 うたわれているのは、ひとりで働く哀愁の臭い…
[良い点] すとん、と心に残る読了感。 絵本を読んだような優しい気持ちになりますね。 [一言] 人は何のために働くのか。 それはまさに食べるためであり、生きていくためであり。 楽しい仕事をしている人な…
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