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俺の友達が強過ぎるんだが。  作者: 日向 渡
かくも騒がしき美術館
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やんごとなき日常

     ~~~鹿沼大輔の場合~~~


「大輔、賑やかだねえ」

「…………ソダネー」

「大輔、これはどうやって遊ぶのだね!」

「…………アーウン」

「だいすけ、おなかすいた」

「…………アトデナニカツクルヨー」

「……大変そうですわねえ」



 俺と康太の部屋には総勢五人が集まっていた。まあ部屋の間取り的には問題ない。高級マンションの一室みたいな、正直高校生には手に余るほどの広さなのだ、あと五人は呼べちゃうぜ。

 特にエリーは毎日のように俺の部屋に通うようになった。もう一週間はずっと通い詰めである。友達出来たからってはしゃぎ過ぎだろ。

「康太、大輔が放心状態になっているなのだけれど……」

「壊れたのかなあ。エリオット、ゲームならボクが相手になるよ」

 康太とエリーも名前で呼び合う仲である。エリー呼びはどうやら俺だけらしい。



「まあ、いいんだけどよう。毎日賑やかで楽しいんだけどよう。なんかこう釈然としねえんだよなあ」

「あら大輔さん。お兄さまの高校デビューを蒸し返しては可哀想ですわよ」

「や、やめて……やめてくれたまえ……」

 顔を真っ赤にして俯いた。黒歴史である。このまま掘ったらヒゲ付きの巨大ロボとか丸い緑の可愛いのとか出てくるかもしれん。

「はあ……毎日毎日学校行って帰ってきてエリー達が来ての繰り返しだなあ。そろそろなんかイベントあってもいいんじゃねえか」

「5月はなにもないからねえ」



「はあ……そういえば男キャラばっかの、女性に媚びてる感じの作品って高確率で男の娘出るから結局見ちゃうよな」

「唐突だね」

「もうこういう話でもしないと場が持たねえ」

「無理に持たせなくてもいいよ……」

 とまあ、そんな具合に。

 今日も平和である。



     ~~~公崎悠人の場合~~~



 僕は部屋でテレビでも見ながらのんびりとしていた。

 折角の休日だけれど、特にやることもない。せいぜいやっていることと言えば、使える魔法は多いほうがいいと思って、攻撃魔法と回復魔法の威力のチューニングを脳内で行っているくらいだ。これをやらないと味方まで巻き込んじゃう恐れがあるから、いちいち調整しないといけないのが面倒だ。僕も禁呪無しで魔法を詠唱したいのだけど。詠唱が長いから面倒なのだ。魔法語覚えるのも面倒だし……。



 チューニングも一通り終わり、意識を部屋に向けると、ドアが開いて葵が入ってきた。購買に行っていたらしい。

「…………悠人、隣がとても楽しそう」

「そうだね、うん。いつの間にか大輔の友好関係が広がってるね」

「…………戦うと弱いけどコミュ力は高い。…………女子の情報とか電話したらくれそう。…………テンプレート友達ポジション」

「うん、普通に悪口だからやめようね?」

「…………前に自分で脇役って自称してた」



 自分で言ってたのかー……。

「…………明日、日曜日だから……遊びに行こう……」

「ん、どこに行こうか」

 シュバッ、みたいな効果音が出そうな勢いで、彼女は二枚のチケットらしきものをどこからともなく取り出した。

「…………美術館」

「こういうのって普通は遊園地かと思ってたよ」

「…………今やっている特別展が見たい」

 僕はチケットを一枚受け取って、見てみる。

「へえ。何をやって……」



 アニメの原画展。

「ああ……そういえば君ってこういうの好きだっけ……」

「…………鹿沼は同志」

「まあいいよ。僕も人並みにはアニメは見るからね。深夜枠のだけど」

「…………ライト勢」

 なんだか少し失礼なことを言われた気がするが、気にしないでいよう。

「はあ……でも、アレだね。僕ももっと男友達欲しいなあ」

「…………悠人の周りには女ばかり」

「君を含めてね」



 大輔はどんどんコミュを増やしていくのに、僕は全然だ。クラスの皆は優しいけれど、友達か、と聞かれると違う気がする。

 さりげなくチケットに視線を向けた。すると、開催場所や簡単な地図、規約などが書かれている中に、一枚で四人までご招待出来ます。との文字を見付けた。

「あ、大輔達誘えるじゃん。予定ないか聞いてこようかな」

「…………まあ、いい」

「じゃあ今から誘ってくるよ。って……四人のチケットが二枚だから八人誘えるのか。ミオも誘えるなあ」

「…………やっぱり駄目」

「な、仲悪いの……? 折角だし、親睦を深めればいいんじゃないかな」

「…………まあ、悠人がそう言うなら」



 ……あ、でもミオってアニメとか興味無さそうだなあ……。まあ、常設展もあるし、なにやらもう一つ特別展をやっているようだし、楽しめないことはないだろう。

 僕は部屋を出て隣の部屋へ向かう。



     ~~~広城康太の場合~~~



 部屋に悠人がやってきた。また賑やかになるなあ、と思っていると、後ろから葵ちゃんも来ていた。暇だったのかなあ。

「大輔、康太、明日って予定あるかい?」

 大輔は首を横に振った。

「うんにゃ、特に何も考えてねえよ」

 僕も続いて「ないー」と言った。

「美術館でこんなのやってるんだけどさ、四人まで使えるんだよね。もしよかったら行かない?」

 悠人がチケットを手に取ると、歓喜の声を上げた。

「マジかよ! これお前どうやって手に入れたんだよオイ!」

「葵が持ってたんだ」



 大輔と葵ちゃんが見つめ合い、そして握手をした。仲が良くなってる……!

「俺は……このアニメの円盤を全て揃えている……」

「…………神アニメだった」

 通じるところがあるらしい。なんのアニメの話をしているのだろう。僕もチケットを見せてもらう。

「ああ、これか。前に大輔と見たばっかりじゃないか」

 大輔がオススメだと言って僕に見せてくれたアニメだ。僕も深夜アニメはよく見る方なのだけれど、ロボットアニメはあまり見なかった。そのことを大輔に話したら、オススメがあると言って見せてくれたのだ。



「あのアニメは作画はいいからな」

「…………ストーリーはともかく作画はよかった」

 何故かみんなストーリーを褒めないのだけれど。

「これで四人……チケットはもう一枚あるから、あと四人来れるね。どうする?」

「僕も行かせてもらえるかな?」

「わたくしも行きたいですわ」

 エリオット兄妹が食いついてきた。大丈夫かな、こういうの興味無さそうだけど。

「大輔の好きなアニメ……これは好きになる他ないではないか……」

「お兄さまが面白いので近くで観察したいのですわ」



 これで残りは二人だ。

「……わたしもいきたい」

 今までゲームに注意を向けていたシエルが手を上げた。

「ここに一人置いていくのも危険だろう。最近動きは無いけど、ユニオンに狙われているわけだしね」

 手の届く範囲にいさせようというわけだ。

「あと一人はどうするの?」

「ミオを誘おうかなと思ってる」

「賑やかになるなあ」

 明日が楽しみだ。

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