入学式
どうも、作者です。
高校一年やらせてもらってます笑
この作品はデビューですが、趣味で書いたと言えばそうですが将来の目指す職業としてここで力試しをします。
つ
つきあかり
月明
月明 れんじ
月明 恋次 検索
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【一話】
「ふあぁぁあ...」
恋次は一人大きなあくびをした。
月明恋次 15歳 男性 引きこもり歴2年8ヶ月 偏差値59 MMORPG「空暮れ」1位 別名:暇神 私立上ヶ峰学園合格 検索
7時に設定していた時計がピピピッと鳴く。
椅子に張り付いた重い体を持ち上げ、カーテンを開けて部屋の出口の扉に手をかける。
しかし、その扉は無抵抗にもドアノブが動き、扉が顔面に重たい打撃を与えた。
「おぐっ...はっ鼻が...」
扉の打撃でのけ反りベッドに倒れ込んだ恋次は軽い脳震盪に襲われた。
「おい恋次、いつまで寝てんだ。今日から高校生だろ」
扉の反対側に立っていたのは恋次の姉 麻紀菜だった。
ベッドでノックダウンしている恋次を下目で見て、憐れんでいる。
月明麻紀菜 17歳 女性 現役高校3年 偏差値61 MMORPG「空暮れ」2位 別名:忙神 私立神ヶ峰大学院推薦 検索
恋次は飛んでいきそうだった魂を吸い戻し、自分が何したのか分かっていない姉を通り過ぎて螺旋階段を降りてリビングに向かった。
「おはよう恋次」
恋次に朝の挨拶をしたのは恋次の兄、尚樹だった。
月明尚樹 19歳 男性 現役大学生2年 偏差値55 バイトリーダー兼就職活動中 彼女あり 私立高ヶ峰大学所属 検索
「おはよう兄貴」
恋次は挨拶を返して食卓を覗いた。
夕飯の残り物に即席のスープと炊きたてご飯。
兄が向かいの席につき姉は横の席について朝食が始まった。
しかし恋次は引きこもり中部屋で食事を取っていたので食卓というものを忘れてしまっていた。
テレビの天気予報が命綱という安心できない食卓だった。
このままではいけない。と思った麻紀菜は恋次に話を降った。
「恋次は高校生になったら引きこもりは辞めるんだよね。」
麻紀菜は恋次の顔を覗きながら笑っている。
確かに中学の時は引きこもっていたが、高校に入っても引きこもりを続けるのは嫌で、自分と同じ年の人は何に興味を持っているか、知りたがっているかを学び上げ、ファッション、映画、ドラマ、アニメ、流行語などを入念に調べ上げた。
同時に、コミュニケーション能力を失わないためにネットで知り合った女の子と通話で会話を続け、今日という日のために頑張ってきたのだ。
「もちろんだよ麻紀ねぇ、今までの努力は無駄にしないからね」
そう言って食事を終えた恋次は食卓から逃げるように部屋に戻り、新しい制服に着替えて家を出ようとした。
「待ってよ恋次、まだ見てないでしょ」
玄関の扉に手をかけた恋次を制止させたのは麻紀菜だった。
「麻紀ねぇ、見るって何を...」
『今日の占い第一位は!牡羊座のあなた!やること成すことすべて吉!ラッキーアイテムは黒のハンカチ!』
リビングに戻った恋次は占いを見てはしゃぐ姉を見て
バカバカしいと回れ右をする。
『ざんねぇ~ん!最下位は射手座のあなた!今日は家から出ない方がいいかもぉ~。ラッキーカラーはピンク!』
恋次は再び玄関に向かおうとする。
「恋次は最下位だ。この占い結構当たるよ」
恋次は占いなどに興味が無いことを示して玄関の扉を開けた。
「気をつけていってらっしゃい」
気をつけてってのが意味深に聞こえた。
「まったく、麻紀ねぇの占いオタクにはついていけないな」
第一ピンクのものなんて持っていないし、新しい人生を占いなんかに邪魔されてたんじゃ引きこもり辞めた価値がない。
「よし!心機一転高校ライフを楽しむぜっ」
恋次はそう言って門を開けた。
ポケットの中を漁って昨日準備しておいた高校までの地図を手にした。
「こっちか...」
そうして高校にむけて一歩進んだ時、背後から声がかかった
「どこ行ってんの?高校は反対よ」
え、と後ろを振り向くと一人のちびっこが家の門の前に立っていた。
「おぉ、夏希じゃん。久しぶりぃ~」
夏希は小学生からの幼なじみでまさに腐れ縁というやつだった。
毛利夏希 15歳 女性 専属ファッションデザイナーの娘 偏差値51 バドミントン部所属 無遅刻無欠席常習犯 身長148センチ 私立上ヶ峰学園推薦合格 検索
夏希は学校指定のセーラー服にピンクのコートを羽織ってスクールバッグも可愛くコーディネートしていた。
髪は染めたのではなく元から茶髪で母親の遺伝を強く引いていた。
「私が迎えに来たから道を間違えないで済んだわね」
でーんと胸を張って感謝しろと言わんばかりにニヤニヤしている。無論、張る胸など有りはしない。ペッタンコだ。
「はいはい助かったよありがとう」
適当な棒読みでも満足されるので報いる事もできない。
しかし何でまたお迎えがついたのかと恋次は疑問に思った。
中学の頃は迎えに来るどころか話もろくにしなかったのだ。
「何で急に迎えなんて...」
恋次はその謎を解決すべく夏希に質問を投げやった。
「何で?来ちゃダメだったわけ」
夏希は恋次の無神経な質問にしゅんとした顔になった。
もともと小さい身体がさらに小さくなり親指姫位になってしまう。
「いっいやいや、全然よかったんだけど...中学の頃はそんなこと一度もなかったじゃん。どうして高校に入って突然ってね」
手の平に乗って嘘泣きをする親指姫にもっと詳しい内容を話して誤解を解く。
「あっ、そーゆこと」
手の平の親指姫は元の大きさに戻って質問の意図を理解したのかやっとその解答を聞けそうだ。
「そりゃ中学に入って恋次が彼氏面しそうだったからよ」
・・・・・・・・。
は?
「だって恋次って小学校の頃甘えん坊だったから中学で理由知らない人が見たら彼氏って思われるの嫌じゃん」
恋次は少し頭を抱えて無理矢理に解答の意味を理解しようとした。
「じゃあ何で高校ではいいんだよ」
恋次は1ミリ程しか理解していなかったがさらに深追いの質問をする。
「えーそれ聞いちゃう?だって私が寂しくなったんだもん」
恋次はそれを聞いてようやく謎を解いた。
「つっ...つまり中学で俺が引きこもって逆に。ってこと?」
「うん。せーかい。何で引きこもったの」
なんと恐ろしい事だ。と恋次は絶句した。
まさか身体だけでなく頭までお子様だったとは.....。
しかし恋次は夏希の問いに答えようとしなかった。
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「.....上ヶ峰学園の生徒として誇りを持ち勉学に励むことを誓います」
いかにも頭がよさそうな生徒が壇上でスピーチを読み上げた。
「続きまして、校長からのお話がありますので引き続き静聴をお願いします」
真面目そうな先生が着々と式を仕切り進行している。
しかし校長の話となると長くて疲れてしまうだろうな。
「新しい生徒の皆さん。こんにちは」
若っ!
先程まで恋次がスピーチしていたマイクを手に取ったのは見た目20代前半くらいの顔の整った校長だった。
恋次以外の生徒もそう思ったのか周りがざわついた。
「静聴だってば、えー皆さん高校生活を楽しんでくださいね。以上」
早っ!
恋次は再び驚いてしまい、次は周りのざわつきに混じって声を出してしまった。
「もー、静聴だってば静聴、静聴」
校長は式を仕切っている先生の言葉をバカの一つ覚えのように繰り返している。
でも、真面目な進行の先生と緩い校長の性格がいい具合に混ざりあって体育館は暖かい笑いに包まれていた。
それから数分で閉会式が行われ、真面目な先生は「即帰宅」と言い、校長は「学校探検していってね」とのこと。
それで結局自由解散って事になった。
「ねぇ恋次、明日一緒に回らない?」
真面目な先生の言う通りに即帰宅をしようかと体育館のゲートまで来た時に背後から知っている声がかけられた。
「明日?何かあったか?」
学校探検や帰る人やの人混みの中で後ろを振り返る。
「嘘でしょ、恋次...学校の予定表あらかじめ貰ったでしょ」
何やら明日も学校に来なくてはならないようでため息が出そうになる。
「開会式の時配られたやつだろ?なぜか俺のだけ白紙だったんだわ」
後で職員室に貰い行こうと思って忘れていたことを思い出しヘラヘラと笑いごまかそうとした。
「明日は学校主催で上ヶ峰遊園地に行くのよ?」
まじか.....
恋次は笑いが勝手に止まってしまった。
「夏希様...ありがとうございました」
両膝を床について神を祈るかのように礼をした。
もしそれを教えてくれなかったら明日には学校から家に電話かかってきて初日から目立ちまくるハメになっていたと思うと夏希が神のようで神のようで泣けてくる。
「あ...あの恋次?もういいからさ明日一緒に回ってくれる?」
「回ります!まわりますよ!ゴッドよ」
夏希は人混みの中から笑い声を探知すると逃げるようにその場を走り去っていった。
結局恋次は初日からでなく入学式から目立っていた。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回作は来月までにだしますのでお願いします。